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たいせつ続き

 別ジャンルのお友達Hさんがたいせつ~を読んでくださってると聞いて、浮かれたみなみはそんじゃあ続きもお見せしなきゃと張り切りましたとさ。
 そんなわけででぢAKAにアップしてある最終話までを公開設定に変えましたので、そちらで読んでやってください。本当は花うてにも写そうと思ったんですが、いやちょっと、その…面倒で。すんません。意外と話数があったんだもん……同人誌版はもっと増えてますけども!増え続けてますけども!!
 …あー。
 とりあえず、待ってて下さった方々には申し訳ありませんでした。よかったらHさんにポイントを入れて差し上げてください(笑)。

 →でぢたるAKADEMIA

 ご面倒ですがカテゴリよりどうぞ。たいせつ~は「カテゴリ」欄の下のほうにあります。
 

 
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たいせつでたいせつで(179)

  キョーコと奏江が、何の交通手段を使ったのかはわからない。しかし駅もバス停も同方向だし、中学と高校への道の分岐はすぐそこだ。
 車を使うまでもない距離ではあるが、足が必要になるかもしれない。クオンは急いで車に戻り、助手席に携帯電話を放り投げて乗り込んだ。
 エンジンをかけるや急発進、急ハンドル、急転回。対向車線に入り、短い距離を走って左折する。高校の敷地が広いから多少の距離はあるが、視界の奥にもう中学の建物が見えた。
 歩道にちらほら見える歩行者にも、路上に駐められた車にも目を配りながら進む。じきにグラウンドの前にさしかかり、数人走っている人影が見えたが、いずれもキョーコよりよほど長身だと目を切る。
 一瞬、ほぼ沈んだ秋の陽を追うように飛び去る鳥の影が視界をかすめた。思わずそちらへ視線を持って行かれる。
 「!」
 同時に、思い切りブレーキを踏んだ。後続車がなかったのは幸運だったかもしれない。
 鳥影の向こう、右前方の歩道に車道を渡ろうとしているらしくきょろきょろと周囲を見回している少女たちが見える。揺れる黒髪の艶やかさが遠目にもよくわかった。キョーコと奏江だ。
 無事だった。
 クオンは大きく安堵の息をついた。
 ハンドルを握り締めていた手を片方放し、窓のガラスを下ろす。キョーコに呼びかけようと頭を窓の外に出し…
 た瞬間、その髪先が乱暴な風に攫われた。
 ほんのわずか遅れてごうと空気が鳴り、それからけたたましいスリップ音。後方から突然現れたグレーのピックアップが膨らんだ軌道を強引にねじ変えて路肩に身をつける。キョーコの進路を塞ぐように。
 「!」
 まさか。
 現場まで少し距離がある。クオンはまたしても急発進を敢行し、悲鳴を上げるタイヤをものともせずに父の車を駆った。
 狂おしく揺れる視線の先で、不審な車のドアが開いた。そこから赤っぽい髪の男が突き飛ばされたようにまろび出る。
 ラウドではない…と思ったところへ、車の中からまた別の手が突き出された。キョーコが感電したように震えるのが見える。危険を感じ取ったのだろう、奏江がその肩を引こうとしているが、彼女は立ち竦んだまま動けずにいる。
 「キョーコちゃん!」
 叫んで、不審車の前を斜めに塞ぐ形で車を停めた。外へ飛び出す。
 少女がぱっと振り返った。
 「クオン…」
 駆け寄る彼に伸ばされた手を、ピックアップから乗り出した男がつかんだ。
 「あっ」
 「キョーコ!」
 小さな体が、いつかのように車の中へ放り込まれる。振り払われた奏江が尻餅をついた。
 「キョーコちゃんっ」
 追いすがる手は間に合わず、ドアが手荒く閉められる。垣間見た運転席に、ニュースで初めて知ったラウズの顔がある。一瞬、目が合った。血走った目にギラギラと浮かぶ狂気の色にぞっとする。
 灰色のピックアップが咆哮を上げた。しかし、車道側はクオンの停めた車に塞がれている。わずかにバックし、大きく方向転換して歩道に乗り上げた。
 その先には、足を押さえて立ち上がろうともがく奏江の姿。
 「危ない!」
 飛びついて転がるクオンの足先を、間一髪ピックアップのドアミラーがかすめて行く。そのまま、車は街灯を倒し街路樹を引っ掛けながら歩道を回り込んで走り出した。
 「くそ…!」
 舌打ちしたクオンは奏江を見遣るが、気丈な少女にぐいと肩を押された。
 「行って!私は大丈夫。警察やキョーコの家にも連絡しておきますから」
 携帯電話をバッグからつかみ出しているのを見て、金の髪の少年は力強く頷いた。人の駆け寄って来る姿もある、彼女のことはどうにかなるだろう。
 「わかった。じゃあ、犯人は逃亡中の脱走犯トマズ・ラウズだって警察に知らせて欲しい」
 立ち上がりざま、
 「キョーコちゃんの元の父親だ、ってことも」
 ぽつりと告げ、驚きの声を聞き捨てて自分の乗って来た車に乗り込んだ。
 フロンドガラスの向こうには、日が落ちた直後の影のない街。ともすればそこに溶け込んでしまいそうなグレーの車が、道の先へ早くも小さくなりかかっている。
 エンジンをかけ、クオンは思い切りアクセルを踏み込んだ。
 車が弾かれたように走り出す。車の好きな父のものだけあって、整備は万全だ。。
 じりじりと距離を詰める。トップスピードで言えばこちらに分があるはずだが、生憎と交通量の増える時間帯に差し掛かり、一直線には追いすがれなかった。
 先行する車がぎりぎりで黄信号を抜けた。クオンは前にいた一台を強引に抜いて交差点に入る。同時に携帯電話が鳴り出したが、とても応答していられる状況にない。
 寸時そちらに気を取られた間に、横合いからトレーラーが出て来た。
 「!」
 怒鳴りつけるようなクラクションを聞きながら、大きくハンドルを切る。



 


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たいせつでたいせつで(178)

 画面の下端を文字が流れて行く。
 トマス・ラウズ。
 その名は、嫌悪感と共にクオンの記憶に刻みつけられている。
 「キョーコちゃんの…!」
 かつての義父の名だ。彼女を虐待し、彼女の母を殺した。
 愕然と立ち竦む息子を、クーは一瞬怪訝そうに見たが、彼の呟きを聞き取ると勢いよくテレビを振り返った。
 速報の終わった画面では、元通りに金の髪の少年がにこやか穏やかに話している。
 しかしここ、ヒズリ邸のリビングではその同じ少年が険しい顔で拳を握り締めていた。
 「嫌なタイミングだな…」
 ぽつりと呟き落とす父の声と同時に、彼は尻ポケットから携帯電話をつかみ出した。帰宅したまま持っていたのは幸いだった。アドレス帳を忙しく繰り、キョーコの番号を探し出す。
 強くボタンを押し込むと、苛立つような空白のあとやっとコールが始まった。
 一回、二回、三回…早く出てくれ、早く、早く。
 しかし彼の願いも虚しく、応答のないまま留守電が作動する。クオンは即刻終話ボタンを押し、今度はだるまやの番号を探す。
 その手を、父の声が止めた。
 「ああ、おかみさん?忙しい時間帯にすまない、少しキョーコに用があるんだが…」
 様子を見て先回りしてくれたらしい。時を惜しむクオンは感謝の目を向けたが、それも父の次の言葉までだった。
 「え。カナエと出かけた?どこへ…
 「学校!?」
 聞いた瞬間、クオンはリビングを飛び出していた。手の中には、返しそびれた車のキーがある。
 「クオン、待ちなさい!私が…」
 制止も聞かばこそ、胸を冒す不安を振り切るように彼は走った。




 キュリキキキキキ!
 横滑りして歩道に乗り上げる直前で車が止まる。
 ぎょっと振り返る人々の視線を意に介さず、クオンはドアを蹴り閉めて駆け出した。
 途中でだるまやに電話をかけて、キョーコが家を出た時間を確かめてある。クーから事情を聞いたと声を震わせるおかみの話によれば、もう学校に着いていてもいい頃だ。
 手の中の携帯を見た。
 おかみもキョーコと連絡を取ってみる、取れたら電話をかけると言ってくれたが、キョーコ本人からの折り返しは勿論そちらからも着信はない。ずらりと並ぶのは『父』の文字だけで、彼はそれらを黙殺した。
 かき分ける空気が、ぬるりと重い。
 手足に絡みつくこの不安はどうしたことだろう。
 考えすぎではないのか、と思う。思いたい。
 単に偶然が重なっているだけ。キョーコは無事で、奏江と共に楽しく歩いているために大抵マナーモードのままの携帯の着信に気付いていないだけ。その元義父は今頃、再び捕まって護送されている…
 それだといい。それならいい。用心のしすぎは笑い話で済む。しかし、足りなかった時は。
 クオンは傾き始めている太陽を見上げた。血のような赤さが更に焦燥を呼ぶ、
 昼間の自分が馬鹿に思えた。
 心構えひとつ、自分がしっかりしていれば済むことをぐだぐだ考え込んで、後込みして。あの時キョーコに会っていれば、きっと今頃こんな思いをしていなかったのに。
 (キョーコちゃん…!)
 後悔に追い立てられて駆け込んだ校内で、彼は忙しく周囲を見回す。求める姿はない。警備員の姿を認めて尋ねてみた。キョーコはただでさえまだ11歳な上に童顔の日本人で、子供にしか見られないためよく目立つ。警備員も彼女のことは知っていたが、自分は午後からずっといるが今日は見ていないとかぶりを振られた。キョーコが奏江まで伴って校内へ入ったなら、まず見落とされることはないだろう。一瞬校舎を見遣ったがクオンはそこにキョーコがいる可能性は低いと退けた。
 ではどこに。
 思った時、ふと疑問を覚えた。
 学校と聞いて自分は、直前に見ていたテレビ番組のせいもあって高校に直結してしまったけれど、キョーコは奏江と共に出かけたのだ。
 それならむしろ、中学の方に行ったのではないか?
 幸い、そちらもすぐ近くだ。確かめてみようとクオンは身を翻した。





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たいせつでたいせつで(177)

 「うん、これなら試験は一発合格だろう」
 父は上機嫌に助手席を降りる。シートベルトを外しながら、クオンは少し笑った。
 「だといいけど。まあ、頑張るよ」
 ポルシェは癖があるからと別の車、クーがキョーコに弁当を作ってもらった時用に買ったピックアップを使っての練習だったが、謙遜はさておき我ながらスムーズな運転だったと思う。
 帰宅時よりはずいぶんと上向いた気分を抱え、父に続いて家に入った。
 「父さん、キーを…」
 車のキーを返そうとリビングに入ると、ちょうどテレビがつけられたところだった。
 「おお」
 リモコンを手に、クーが声を上げる。なんというタイミング、画面にはクオンのアップが映し出されていた。その背景にはとても見覚えがある。
 「ああ、この間学校で受けたインタビューの…」
 「なかなか扱いがいいじゃないか。よしよし。それにしてもクオンはアップに耐えるな…ジュリ譲りの美貌には何の曇りもない」
 満足そうに断言する父はテレビにがぶり寄りの体勢、大画面の真ん中を堂々と切り取っている。自分の顔が父の影に分断されて見えるのは少々シュールだったがまあいいかと苦笑して、彼はキーをテーブルに置きに行った。
 その時。
 「おお!?」
 いきなりアクションスターの声が跳ねる。さすがの声量は息子さえ驚かせる力を持っていた。
 「どうしたの、父さ」
 「クオン!」
 クオンは思わず尋ねるが、振り返りきるより先にぐいと腕を引かれた。
 「!?」
 「今!今お前の後ろにキョーコが!!」
 「は?」
 勿論、少年はベタにも実際に背後を顧た。だが視界にはキョーコどころか人の姿とてない。
 「違う、テレビだ!ああ、もう行ってしまった…くっ、私としたことが、画面に集中するあまり録画を思いつかなかったっ…!」
 無念の黄昏に打ちひしがれる父とテレビ画面とを見比べ、クオンは温く苦笑するより他に手がない。
 「録画はともかく、俺もキョーコちゃんは見たかったな」
 CMの時には当然のように録画して見ていたが。と言うか、一家揃って自分専用の録画を持っていた。
 思っていると、なぜか父が同情するような目で自分を見ているのに気付いた。
 「何?」
 「ああ、いや…お前、最近キョーコに会えてるか?」
 ずばり聞かれて、クオンはほんの一瞬だけ凍った。よりによって今日その話題を持ち出されるとは。
 「あまり、会えてないね。今は仕方ないよ、キョーコちゃんのためにも」
 どうにか苦笑を繕って返すことには成功したが。父の表情は晴れない。
 「キョーコが映ったのはほんの一瞬だったが」
 言葉を切り、クーはもぞもぞと手を動かした。言いにくそうに口を開く。
 「淋しそうにお前を見てた」
 「!」
 俺だって、と言いたかった。クオンはしかし言えず、一旦開いた唇からただ吐息を洩らす。彼の心中を慮っているのだろう、父もまた無言のまま視線を逸らす。と、不意に甲高い電子音が鳴り響き、父子は二人ながらテレビ画面に注意を惹かれた。
 下端に、速報の文字が流れ出す。
 移送中の囚人が警官の銃を奪って脱走。現場は…
 「高校の近くじゃないか」
 たった今見ていた校舎を思い浮かべているのだろう、クーが眉根を寄せた。しかしクオンは、父の声も耳に入らない様子で続けて流れる文字を食い入るように見つめていた。拳が、白くなるほど握り締められている。
 囚人の名は…








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たいせつでたいせつで(176)

 ふう、と。
 自分の部屋に戻ると同時に嘆息し、クオンは頭に手をやった。黒髪のウイッグを毟り取るように引く。
 それをばさりと机の上に投げると、
 「あ」
 小さく声を上げた。キョーコに見せようと持って行った封筒を、差し入れ袋と一緒に置いて来てしまった。中身は彼が7月に日本でした仕事の成果、スチールモデルを務めた雑誌の見本が宝田経由で送られて来たものだ。
 いや、見せるつもりだったのだからいいと言えばいいのだけれど、これでは彼は行かなかったことにしてくれとおかみに頼んだ意味がない。
 はあ。またしても溜め息がこぼれる。
 「何やってんだろ、俺…」
 ベッドにどさりと倒れ込んだ時、窓の外から車のエンジン音がした。父のポルシェだと気付く。
 起き上がって窓から顔を出すと、ちょうど向こうも息子の部屋の窓を見上げて来たところだった。
 目が合い、父はにこりと笑う。
 「ただいま、クオン」
 「お帰り父さん。珍しいね、こんな昼間に」
 「ああ、監督がセットに豪快な駄目出しをしてな。大幅に組み直すから今日は撮影は無理だってことになったんだ。お蔭で半日空いたから、お前もオフなら久しぶりに一緒におやつでも作らないか?」
 クーは上機嫌で尋ねて来るが、クオンはいま大量の食べ物に占拠されたキッチンを見たり甘い匂いの充満した家で過ごしたりする気分にはなれない。
 「それは…遠慮しておくよ。お腹すいてないし」
 むしろ胸がいっぱい、という状態なのだと思う。頭もか。
 「そうか…」
 見る見るしょぼんとする父のつむじを見下ろすと、少し気の毒な気もする。少しくらい構ってやるべきだろうかと思って口を開きかける彼に、アクションスターは何か思いついた顔でぱあっと笑う。
 「そうだクオン、お前、次の誕生日には免許を取るだろう?」
 とポルシェのボンネットを叩くから、運転免許のことだろう。
 「勿論。16になったらすぐ取るつもりだよ」
 答えれば父は満足そうに頷いた。
 「やはり足は必要だからな、キョーコのためにも」
 「そうだね…」
 一瞬、運転席の自分と隣のキョーコという図を思い描き、クオンは俺は馬鹿かと自分の額を押さえた。彼の懊悩には気付かず、クーは来い来いと手を振っている。
 「それなら、少し練習しないか」
 「え」
 それは、父の車を運転させてもらえるということか。公認で。
 「私有地内なら免許は要らないし、私が隣で指導してやろう」
 「今行く!」
 こればかりは断る余地がない。クオンはドアへと身を翻した。




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