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しぇるぶるー!(前編)

 「よっ…はっ…と…」
 「?」
 彼女のためだけに作られたテラスの温室でのんびりまどろんでいた仔リスは、呻くような声につぶらな瞳をガラスの壁へと向けた。
 「!?」
 そこには、陽光を背負った黒い影。小動物の範疇には入るにしても彼女よりはよほど大きい、四角いような獣がえっちらおっちらガラスを支える支柱をよじ登っている。
 「お」
 登攀者が、キョーコに気付いた。
 「よう、お前誰?」
 「え?」
 冷静に考えれば、それは彼女の方の台詞であるべきだ。しかし、仔リスは現在の飼い主に連れられて森を出てからというもの、自分以外の動物を見た事がなかった。警戒よりもなつかしいような気持ちを覚え、よじよじ活動を続ける闖入者を見上げた。
 「えっと…私、キョーコちゃん、って呼ばれてるの」
 「ふーん、キョーコか。ダッセエ名前。あ、俺は尚、な。ショー」
 「!」
 鼻先で笑われ、がーんとばかり衝撃を受けてしまう。その様子を見て、相手はわずかにたじろぐような顔をした。
 「あーいや、まあ気にすんな。俺みたいなカッコイイ名前はそうそうねえだろうし、しょうがねえよな。うん。悪いのは飼い主のセンスで、お前じゃねえって」
 「なっ!つるがさんのセンスは悪くないもの!すっごくかっこいいし、優しいんだから。私のこと呼び捨てなんかにもしないのよっ」
 「あーハイハイ。でろでろ甘々の親バカ飼い主ってことか。そりゃ結構じゃねえの」
 フォローのつもりなのだか逆なのだかわからないことをべらべら言って、ついに彼は温室の上部に開いた通気用の窓に辿り着いた。
 「よっこいせ、と…おいお前、よく見てろよ」
 「え」
 下側が斜めに開いた窓を潜り、尚は憤慨のあまり言葉もないキョーコを見下ろしてふふんと笑う。
 「俺は、空を飛べるんだぜ!」
 言い放つや、窓枠を蹴る。大きく拡げた四肢の間の皮膜に風を捉え、彼は緩やかに滑空しつつ温室に舞い降りた。
 「わあ…」
 「スゲエだろ」
 目を丸くする仔リスに、ムササビは得意げな笑みを向ける。…のが、途中で自分がびっくり肩を引いた。
 「え、どうしたの?」
 尚の視線は、キョーコではなくその傍らに整えられたプレートに釘付けになっている。それには仔リスの食事が用意されていて、のんびりまったりしていたキョーコはまだあまり手をつけていなかった。
 「おっ前、いーもん食ってんな!!」
 尚が大きく首を振る。ずかずかプレートに歩み寄り、匂いを嗅いでは喉声を洩らした。
 「これ、てれびで見たぞ。いっこなんまんえんもするイチゴじゃんか」
 「そうなの?なんまんえんって何?」
 言われてもキョーコには意味がわからない。てれび、というのは飼い主がたまに見ているから知っているけれど。
 「すっげえ高えってことだよ!」
 「たけえ?」
 「あーイライラすんな、この箱入り!!ったく、お前の飼い主親バカすぎだろ!?」
 「え…」
 怒鳴られてそんな声を向けられたことのないキョーコはびくりと竦んだ。たちまち大きな瞳を涙が濡らすのを見て、ムササビが慌て出す。
 「や、だから…アレだ。お前が悪いんじゃねえって。な?な?お前の飼い主が」
 「わるくないものっ…」
 「あ?」
 「つるがさんはわるくないもの!ショーちゃん嫌い、意地悪…」
 「いやだから、泣くなって、おい」
 どう慰めたものかわからない様子で、尚はキョーコの周りをうろうろ回る。やがて大きな溜め息をつくと、やれやれと肩をすくめた。
 「わーかったよ!悪かった、俺が悪かったって。えーとなんだっけ、つるが?ってオッサンは悪くない。うん」
 「オッサンじゃない…」
 「悪うございました」
 とうとう降参する姿に、仔リスの涙が引っ込んだ。互いに顔を見合わせ、小さく噴き出す。
 「えっとね、よかったらいっしょにたべる?」
 「おっ、いいのかよ。ラッキー」
 プレートを示されて途端に張り切るムササビに、彼女は少し呆れた声を出した。
 「ちょうしいいね、ショーちゃん」








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 ハイこちらのリスは達磨様のリクにて。
 リスキョコのもとに現れるムササビの尚。彼は空を飛べるんだそうな(笑)。リスキョコ(今、リクキョコと打ち間違えたのですが、あながち間違いじゃなかった(笑))、初の台詞つきです。2回か3回の予定。

 仔リスが人間とも会話できるようになったら、蓮はさぞかし喜ぶんでしょうねえ。




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お久しぶりです

コメントカキコミでポイントが付くと、ポイント目当てのカキコミだと思われたらやだなぁと思っていたのです。はい。すいません。また一言ですが。ムササビ尚と子リスキョーコを発見した時の蓮の驚愕が想像しちゃいまして笑ってしまいました。

危険な香りがします

相手がムササビでも雄属性だと蓮さんはヤキモチ妬きそうですね。

名前が『尚』だじ(笑)

リスキョーコちゃんは初の大魔王蓮さんを経験することになるのかな。

くわばらくわばら(>_<)
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