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たいせつでたいせつで(131)

 「なーなーチビズリ、替わってくれよー、席ー」
 マカナンの声は切迫を帯び始めていた。しかし蓮はそれを無表情に見返すばかりだった。
 「誰のことを呼んでるのか知りませんけど、少し静かにして戴けませんか」
 と、自分の左肩を見やる。そこには小柄な少女がコトンともたれて安らかに寝入っていた。手洗いなどに立ちやすい通路側の席に座らせたはいいけれど、キョーコは新幹線に乗り込むや眠ってしまって少しも目を覚まさない。
 そして、昨夜の心労を思いやる気持ちと思いがけない密着を珍重する気持ちとが入り混じり、枕君は妙に使命感に燃えていた。
 「俺はいま動けないんです。社さんに替わってもらったらどうですか」
 「うん、俺もそう言ったんだけど」
 向かいに座る青年が苦笑する。しかし映画監督はえへんとばかり胸を張った。
 「進行方向に向いてねえと見にくいだろが、フジヤマが」
 「まったく貴方は…」
 呆れ声を出しながら、蓮はずり落ちそうになるキョーコの頭をさり気なく戻す。
 「なあおい、頼むって。シンカンセンの窓から見るフジヤマっての、俺ゃすっげえ楽しみにしてたんだぜー」
 「もうすぐ見えて来る頃だと思いますけど…」
 眼鏡の青年が腕時計を確かめた。
 「チービーズーリ~」
 「ん…」
 マカナンの声に反応したか、キョーコが小さく呻いた。もむもむ口を動かすが目は覚まさず、枕の腕にしっかりしがみつく。
 と思ったら鼻先でふしゃんとくしゃみをした。
 「すこし冷房が効きすぎてるかな…?」
 腕にしっかり巻き付かれた枕はあらぬ方を見上げて呟き、そっと手を伸ばして窓際のフックにかけた上着を取った。それをキョーコに羽織らせる。片手しか使えない彼を、身を乗り出した社が手伝ってくれた。
 「ありがとうございます、社さん」
 「いやいや。でもやっぱり、フェミニストっぷりが板についてて、日本男児の仕草じゃないって感じだねえ」
 社青年は変に感心している。
 「はあ、俺、日本人に見えないですか…」
 複雑な顔をする蓮に、彼は急いで両手を打ち振った。
 「いや、見た目じゃなくて。気の持ち方がね、やっぱり違うなと思ったんだよ。外見はね、意外と…うん、まあ、日本人で通ると思う。彫りの深さとかやっぱり違うけど、日本人でも君よりくどい顔の人はいるし」
 「そんなものですか」
 今度は蓮が苦笑する。頷きながら少し笑った社が、ふと首を傾げた。
 「でも…プライベートの旅行にしては凝ってるって言うか…どうしてそこまでするのかなっていうのは、聞かない方がいいかな?」
 「ああ…」
 遠慮しいしい探る口調になるのへ、蓮は軽く頷いた。
 「キョーコちゃんと日本を歩くのに都合がいいだろうと思ったのも本当ですけど…もともとは、ちょっと事情がありまして。まだ言うわけに行かないんですけど、少し仕事も混じってる、ってことで」
 「ふうん…」
 重ねては追及しない社の声にかぶさり、
 「あー!!」
 マカナンの大声が割れる。
 「見えて来た見えて来た、おいあれあれ!な、フジヤマ!カメラカメラ」
 1人で騒ぎ出すので、二人の青年は苦笑を見合わせ話を打ち切った。





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 日本語と英語部分、区別した方がいいのかも…
 
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