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ROMANCIA 7

 「お食事の支度ができました」
 軽やかにドアを叩かれて、レンは苦笑を浮かべながら椅子を立った。
 きっかけは、行き倒れたて(?)のキョーコの体力を養うべく与えてみたスープだったと思う。眉根を寄せ、息を詰め、涙目でやっと飲み込んだあと、彼女は恐る恐る彼を振り返った。
 「おおお、おりじなりてぃに富んだお料理ですね…?」
 声が肩が震えているのを見て、レンは明晰にも判断した。
 『マズイんだな』
 それはそうかもしれない、と思う。人間とは次元を異にする生命体である彼は、人のような味覚を持たない。そもそも毎日食事を摂る必要すらないのだから、調味などという発想がまずないのだ。
 「普段、何を食べてらっしゃるんですか…?」
 そう聞かれて考え込んだ彼は、もともと少食のたちで食についてこだわりはないと答えてみた。そうしたら、
 叱られてしまった。
 曰く、
 「魔法はすごく体力を使うのに。だから私にも回復してからって仰ったんでしょうに、ご自分がそんなことじゃいけません!滋養に富んだものをきちんと召し上がって基礎体力を養いませんと!!」
 と来るではないか。
 長いこと独居を営んで来たために人慣れしていないというだけでなく。そんな風に叱り飛ばされる経験のないレンは、びっしと指しつけられた人差し指を茫然と見つめたものだ。
 どうも今生の彼女は、過去に比べて気が強いというのかしっかり者と言うのか、勝手が違うような…と彼は思い、しかしそこに不快をは覚えなかった。
 「あ、す、すいません。失礼しました師匠。指で指すなんて…」
 「いや、別に…」
 構わないと言おうとして、ふと目を瞬く。
 「師匠?」
 「はいっ。教えを乞う方には、やはり礼を尽くしませんと!」
 「…いや…」
 レンは無意識に鳩尾のあたりに手を置く。自分の腹を探るような動作の下で考えた。あまり嬉しくない呼び方のような気がする。なにかこう、彼女と立場を違えているような、間に壁があるような。
 「レン、でいいよ。師匠なんて呼ばれるのはこそばゆい…」
 「でも」
 「頼むから」
 キョーコは反論しかけたけれど、押し被せるように言った一言で困ったように眉尻を下げ。
 「わかりました…では敬意は、行動で示すことにいたします!」
 それも一瞬のこと、青雲の志を握るがごとき晴れやかな笑顔で言い切った。レンは、『行動』の内容を問うことも忘れてそれに見入っていた。
 まあしかし、と彼はいま思う。
 多少の煩わしさは感じるものの、妙に使命感に燃えるキョーコと毎日共に食事をする時間はやはり楽しい。かつてこんな生活を持つことはなかったと思えば尚更。
 「毎日よくやってくれて、ありがとう」
 「とんでもない!お世話になってるのは私の方ですから」
 キョーコの焼いたふかふかのパンを手に礼を述べてみたら、相手は慌てて両手を振る。
 「そんなことじゃないんだけどな…」
 思わず呟いた言葉は彼女には届かず、はい?と首を傾げるのへ彼はなんでもないとかぶりを振る。
 なんとなく通じ合わない沈黙が落ちた。
 静かに進む食事の終わりごろ、やっとキョーコが顔を上げる。
 「ところで、あのう…そろそろ、体調も戻りましたし」
 レンのフォークが止まった。次に言われる言葉は決まっている…
 「魔法修業の方を、始めたいのですが」
 やはり、と彼はテーブルの上に目を落とした。その木目に危険と期待が描きこまれているのなら、何としても読み取りたいものだと思いながら。
 




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 蓮キョにメシネタは外せませんな!


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