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フォルトゥナタ(5)

 「じゃあ、荷物があるだろうし3日後の昼過ぎに迎えに来るから」
 と言い残して名家の若様は帰って行ったが、ウルバはそれを家つきの奴隷でもよこすという意味だと解釈した。ああいう人の下で働くのはどういう気分なんだろう?などと考えながら彼女はうきうきとメニューとレシピを考える。
 なにしろ材料費はふんだんにある。扱ってみたかったあれやこれの食材、作ってみたかったそれやどれやの料理も思うままだ。日常業務のうちにも彼女は夢いっぱい、小麦粉を捏ねながら鼻歌のひとつも出ようというものだった。
 「いよいよ明日だわっ」
 粗末な机の上に広がった木片をざっとまとめ、ウルバはわくわくの拳を握る。そこに書き込まれた図と文字、それから脇に置かれた籠や壺を満足げに眺めた。
 「クーヤヌス様のお台所は、どんなかしら」
 台所・厨房と言った概念が、この頃はない。どうかすると相当に立派な邸宅でさえ調理スペースと呼ばれるものは階段下の三角形の空間などといったこともあり、使い勝手ははなはだ悪かった。ために、彼女にも一抹の不安はあるのだが…食通として名高い、かつあの輝かしいクオンティヌスの父である人物への期待が捨てきれない。
 「私のお料理、気に入って下さるかしら…」
 胸を抑えて呟いた時、背後でかたりと物音がした。
 「ようキョーコ、何1人でブツクサ言ってんだよ。またしょうもない妄想に浸ってたのか」
 意地の悪い声と共に、若い男が室内に遠慮げもなく踏み入り、壁際のベンチに腰を下ろす。
 「ショーちゃん…」
 振り返った少女が困った顔をした。
 「また養成所脱け出して来たの?違うのよ、あのね」
 「まーどーでもいいや。なあ、アレあるかアレ」
 「もう…ちょっと待ってて」
 パン職人にして料理人たる少女は仕方ないと言った口調で、しかし存外嫌がる風もなく身を翻す。別室に入ったと思うと、戻った時には小さめの皿を手にしていた。
 「はい、どうぞ」
 ショーと呼ばれた若者にそれを手渡すと、相手は舌なめずりせんばかりの顔をする。
 「おー、これこれ。やっぱさー、週に一度は食わねえと調子出ねえんだよなー」
 焼き菓子に似た、しかし脆そうな塊を摘み上げては口に運びホクホクと言うのへ、ウルバはにこにこと頷いた。
 「ショーちゃんの大好物だものね。だからいつも、ちゃんと取ってあるのよ」
 「おー、サンキュ。こればっかはなあ、お前に料理教えた親父でも作れねえからな」
 「大将の仕込みがあったから、思いついたのよ。女将さんにもいろいろお世話になったし…もっと長生きしてくだされば、ご恩返しもできたのに」
 少し目を伏せるウルバに、ショーは蜜のかかった糖菓子のようなものを摘んだまま肩を揺する。
 「そんなの、俺に返しとけばいーだろ」
 少女がふわと笑った。
 「うん、そうね…」




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 もおだめねむいねむいのよーーーーーーすんません。


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