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ROMANCIA 10

 レンは静かな、しかし意思的な眼差しを持ち上げて目の前に立つ人物を見据える。
 言葉を切ったままの彼に返されたのは、不思議そうな瞳。それでもそこに信頼を見つけて、心にやさしい喜びが生まれた。ほんの数日。彼にとっては、いきいきと話し動く彼女を見ていられた貴重な時間。その間に彼女の方は、彼への信頼を育ててくれたのか。
 青年の唇が動く。
 「俺が、竜に会わせてあげるって言ったら…」
 「えっ」
 キョーコが大きく目を瞠った。
 「れ、レンさんはひょっとして、実際に竜にお会いになったことが!?もしかしてここで!!?」
 彼につかみかからんばかりに勢い込む女魔道士は、忙しく池の面に目を走らせる。レンはまあ落ち着いて、などと苦笑しながら彼女の頬に触れ、自分の方を向かせた。
 「君は、竜を愛せるかい?」
 「……え」
 キョーコは虚を衝かれた様子で絶句する。
 「竜を、…」
 「そう」
 「太古から生きる、魔法そのものである存在を…」
 「そんな風に言われてるね」
 なかなか返らない答えをレンは辛抱づよく待ち、寂しむように微笑んだ。彼女の答えは否だろうか?とてもそんなことは考えられない、恋のような憧れと恋そのものとは別の話だ、と言うだろうか。
 「わ…わかりません」
 ややあって漸く得た返答は、答えにはなっていなかった。けれどそれも無理はない、と少しの落胆とともに彼は思う。こんな仮定に意味はない。ただ、彼が先走って彼女に気持ちをねだっているだけのことだ。
 自嘲に揺れる瞳の先、キョーコが小さく息を入れる気配がした。
 「でも」
 「?」
 「そんなことも、あるのかも…だって、本当に私、竜に会いたいんです。会わなきゃいけないとすら思うんです」
 今度言葉を失ったのはレンの方だった。彼女の封印の中には、これまでの生の記憶も含まれている。何も覚えていないはずなのに、彼女はどうしてそこまで竜を求めるのだろうか。
 それは、彼が彼女を求めるほどにも?
 レンは懐に差し込んだ手を、ゆっくりと引き抜く。キョーコに向けて開いた掌には、虹色に光る滴型の薄片。
 「これは…?」
 「この間の、君の召喚術は見事だった。きっとこれを触媒に使えば、今度こそ竜は抗えずに君に応えるだろう」
 半ばは賭けなのかもしれない。何か失うことになるのかもしれない。彼は祈る気持ちで思う。
 けれどもしも、君が手に入るなら。
 「竜の、鱗だよ」





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 チョーシわりい…


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