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ROMANCIA 13

 ほろん、と水の音がした。いや、気配だったかもしれない。よく覚えていない…その、蒼のほかには。

 深い山の奥、森に隠された澄明な湖の岸近くに、彼はいた。気持ちよさげに細波を受け、風に目を細めているように見えた。
 ダイナミックな流線を描く巨体から細く長く首が伸び、金色の角のある長三角形の頭部に続く。鱗状の肌は蒼く、魂に染み入るように蒼く、背に折りたたまれた黒い翼は陽光を弾いて虹の色をあらわしていた。
 竜だ、と彼女は痺れたような頭の底で思う。森で迷い、挫いた足のことももう忘れていた。そもそもこの湖に気付いて、足を冷やそうとやって来たのに。
 なんと美しく、力強い生き物なのだろう。世でよく言う禍々しさなどは欠片も感じず、むしろ神々しささえ覚えるではないか。
 彼女は我知らず前に手を差し上げていた。乞うように…
 竜が、振り返る。じっと彼女を見つめる瞳に微笑の気配が過る。
 と見る間に、その輪郭がにじみ、するすると縮み始めた。すべてが小さく、頭は丸く、手足は細く長くなる。角は髪に変わり、風にふわりと揺れ靡く。
 気がつけば、人としては長身の、眩しいような美青年が汀に立っていた。
 それが、にこりと笑う。
 『俺が、怖くないの?』
 その声には、ひどく純化され押し詰められた孤独の気配がまつろっていた。
 胸が痛い…




 「…あ…」
 震える嘆声を零したキョーコは、じっと自分を見ている瞳を見返して浅い呼吸を繰り返す。
 「貴方は…今の、光景は…」
 『何を見たの?』
 問われて女魔道士は、池へ視線を流してかぶりを振った。
 「湖、でした。ここじゃない、もっと大きな。貴方が…いまの貴方が、いて」
 『ああ』
 竜がそっと呟く。
 『またすこし、封印が緩んだんだね…』
 「!?どういう意味ですか?だって私、ここで初めて会って…貴方が竜で、しかも以前に会ったことがあって、でも竜が変身した人間の姿は…
 「貴方は、竜なんですね…!?」
 キョーコは混乱のあまり支離滅裂になっている。
 「ああもう、ひとつもわかりません。どういうことですか、これ!」
 頭を抱えてしまった娘に、何やら困った様子の声が言った。
 『思い出して欲しいんだ』



 
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 主人公大混乱中。さてスッキリ謎解きなるか。


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