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ROMANCIA 14

 「何を、ですか」
 当然の問いだったはずだ。しかし蒼い蒼い竜は小首を傾げるような仕草をする。そのさまが妙に気安げに見えて、キョーコはすこし緊張を解いた。
 『君が忘れてるってことを、かな…』
 相変わらず困ったような声が言うから、彼女の方がバツの悪い気分になる。私がいじめてるみたい、と思ったキョーコはそっと肩をすくめ、だから何を忘れていると言うのかと問う代わりに相手の姿をまっすぐに見上げてみた。
 なめらかなフォルムは力に満ち溢れ、輝き渡るようだった。
 「やっぱり、貴方は綺麗ですね…でも窮屈そう」
 小さな池の小さな岸辺に彼がいると、ぎゅうぎゅう詰めになっているように見える。彼は、この池で水浴びをしたりもするのだろうか。彼が入ったら、川にも何も続いていない池はすぐさま溢れてしまいそうだけれど。
 「ここでは、翼も拡げられそうにありませんね」
 『まあ、ね』
 彼女の心中を読んだかのような苦笑の気配が降って来る。
 今見た幻の中の湖だったら、彼は悠々と風と水と戯れることができるんだろう…そう思った時、キョーコの目の奥に再び強いイメージが焼きつけられた。
 差し伸べられる手、それに預ける手。後者は、自分の…
 「…触れても、いいですか?」
 なぜかそうせずにいられなくなって、思わず手を伸ばしていた。幻視の中のように。
 ゆっくりと降りてくる大きな爬虫類の頭をぼんやり見守っているうちに、その時の自分の視点を思い出す。そう言えばさっき、明らかに主体は自分だった…胸の痛みさえくっきりと。
 そうだ、胸が痛かった。このひとが、あんまり…一人ぼっちだったから。
 そして今でも?
 人を待っていると言っていたから、そうなのかもしれない。
 胸が、痛かった。
 だから彼女は、手を伸ばす。
 抱きしめたいと思ったような気もするけれど、目の前に来た鼻面は自分のひと抱えほどもある。抱きつくと言うよりも張りつくような格好になりそうで、腕を広げることは諦めた。
 そっと、なめらかな鱗に触れる。




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 アメブロ別館「クルースニク(25)」も上がってます。


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