ROMANCIA 17

 「キョーコ…」
 かすかに震える声が呟く。
 キョーコは軽い目眩を覚え、数瞬だけ目を伏せた。どうして、と思う。
 「何日も一緒にいたのに、初めて名前呼んでくださいましたね…」
 蓮が目線で苦笑した。
 「そうだね…俺はそうするのを避けてたから。君の名前と、呼びたい名前が違ってて…喉に絡まってた感じ、かな」
 「もういいんですか?」
 問えば青年は、そうだねと微笑む。
 「俺はきっと間違ってた。頑なに君を待って、待って、待ってるだけじゃ駄目だったんだ。思い出さなきゃいけないのは俺の方だったね…どうやって君を手に入れたのか」
 「え、え、え?あの、私、貴方のものではないと思うのですが」
 往生際悪くキョーコが言うと、レンは仕方なさそうに同意した。
 「そうだね、今のところは。まだごっちゃになってるな…」
 ぽそぽそ呟いたかと思えば竜の化身は視線を移し、しばし沈黙する。
 「あの…?」
 「君は、きっと街に家があるんだろうね。ここへ来た目的を果たした今、そこへ帰ることになる?」
 唐突に尋ねられてキョーコは戸惑いを浮かべたが、それはまあとやや曖昧に頷いた。
 「なるほど。じゃあ…俺も街に降りることにしよう」
 「ええっ!?」
 キョーコの驚くこと。竜が人間の街に。そんな、伝説の時代みたいなことが現実になるのだろうか。
 「たぶん、昔よりうまくやれる…」
 これはキョーコを見ずに呟き、レンは虚空に吐息を流した。その姿に決意というよりは後悔を感じ、女魔道士はかける言葉もなく手を捏ねる。
 すると美しい人外は微笑とともに振り返り、きっぱりと言った。
 「一歩を踏み出す勇気、ってものを、かつても、今も君が教えてくれた」






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 てなわけでまだ続くことに。しんどい部分も入って来そうですがよろしけです。


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