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たいせつでたいせつで(152)

 どーん。
 と聳えるような重厚な門の前で、キョーコはごくりと息を呑んだ。年季の入った木の門扉に打たれた鋲だって、彼女の拳くらいはある。
 「うおーかっけーな!サムライハウス~」
 喜んでいるマカナンはさておき、少女はメモを確かめ、表札を確かめ、ついでに空を見上げて深呼吸してから、恐る恐るドアホンに指を伸ばした。
 先に、ぶち、と丸まっちい指が無造作にボタンを押し込む。
 驚いたキョーコが思わず見上げると、マカナンは不思議そうな視線を返して来た。
 「ん?どした。ここ訪ねんだろ?」
 「え。あ、はい…そう、です」
 ぽちぽち呟くように頷き、少女は門に向き直った。顔が変に白いのは緊張のせいだろう。
 スピーカーから女性の声が流れ出す。
 『どちら様でしょうか』
 「あ!あのっ、私…キョーコです。不破のおばさまから連絡して戴いたと思うんですが」
 『ああ…』
 なぜか、相手の声が困惑を帯びた。
 『いま出て参ります』
 歓迎の言葉を期待していたわけではないけれど、短い言葉を最後に沈黙したドアホンを見つめ、キョーコはそろりと不安の吐息をこぼした。



 「こちらへどうぞ」
 通用門から雇われ人らしき中年女性が現れる。手招きされてそちらへ向かうキョーコにマカナンと社が付き従うのを見て、女性は不審げな顔をした。
 「そちらは?」
 視線を受けて誰何を受けたと了解したのだろう、マカナンが英語で言うことには、
 「付き添いに決まってんだろーが、アタマ鈍いのかよ」
 と来るからとても訳せず、社青年は冷や汗に滑る眼鏡を押し上げて微笑を作った。
 「デニス・マカナン氏です。キョーコちゃんの親御さんに頼まれて付き添いで日本へ来てまして。僕は社と申しまして、マカナン氏の通訳に付かせて戴いています」
 「はあ…」
 女性は困った風に視線を迷わせるが、門前の道に通行人を見ると慌て気味にどうぞと促した。
 「では、お邪魔します…」
 社が会釈と共に言い、監督の背を押す。この穏やかな青年までが伝染したように不審の表情をあらわしている。
 ぞろぞろと門内へ入ると、左手にはうす緑色の大きく平たい踏み石がどっしりした玄関へ続いている。しかし出迎えの女性はそちらへ向かわず、右手へと一行を導いた。
 中央に太鼓橋のかかった瓢箪池の端をかすめ、裾に松を置いた築山の陰を回り込む。藤棚の下に設えられたあずまやを横目に進む間も、キョーコと社はわくわくマカナンの心配ばかりするはめになった。
 じきに、数種の落葉低木に守られるように建つ、小ぢんまりした、しかし瀟洒な離れ屋の前に着く。
 女性が引き戸を開け、掌で促した。
 「どうぞ」
 キョーコはふと隣を見上げるような仕草をし、それから慌てて前に向き直り足を踏み出した。
 「お、お邪魔します…」






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 いろいろしょわせてゴメンよキョ子…

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