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ROMANCIA 18

 「えっと…」
 右よし。左よし。後方確認、前進すべし。
 「落ち着いて、キョーコ」
 レンが笑い出した。市門をカキカキした動作で歩き抜けようとする連れの肩を叩いて宥める。
 「挙動不審になってるよ。君がそんなに緊張しなくても」
 「だっ、だって、もしばれたらすごい騒ぎになりますよ?」
 「それはそうかもしれないけど。でも、普通に歩いてるだけでばれるなんてことはまずないよ」
 「うう…まあ、そうですよね…」
 呪文でも唱えるように顔の前で指をいじり、キョーコはゆっくりと深呼吸した。
 「じゃあ、えーと、確認しますよ?」
 まだ眉尻が下がっているけれど瞳を据えて、神妙に頷く青年の顔を見上げる。
 「貴方は山向こうからこの街に越してきた薬師で、薬草の採取に入った森で行き倒れてた私に出会って助けてくださった。そのお礼も兼ねて、山を下ったあと私が案内して来た…」
 「っていう設定」
 あとを引き取ったレンがちらと笑うと、娘は膨れっ面で続ける。
 「ちゃんと本当のことだって混じってますっ」
 「嘘の基本だよね」
 「もう!レンさん、急に意地悪になりましたよ?」
 ぽんと言われた青年は、瞳を投げ上げ胸に手を当てた。
 「そうだね、ちょっと浮かれてるかもしれない」
 「ってことは、そっちが本性なんですか!?」
 「本性って…まあ、今の方が正直に振舞ってる、かな」
 苦笑を向けられ、キョーコはつつと彼から距離を取った。
 「どうして離れてくのかな?」
 レンが波動を放つような微笑を浮かべる。女魔道士はそれを、腰を引いたまま上目遣いに睨み上げた。
 「イヂメっ子は嫌いですっ」
 「…思い出したの!?」
 途端にレンがつかみかかるように問う。
 「え…」
 目を瞬くキョーコを見て、彼ははっと我に返った様子をした。
 「ああ…ごめん、つい」
 「いえ…」
 しおしおと謝る様子に、女魔道士が反射的に呟きながら瞳を揺らす。
 「あの、つまり、昔の私?も同じことを言ったわけです、か?」
 「あ…うん、まあ…」
 レンは気の毒になるように力なく答えるのだけれど、彼女は言わずにいられなかった。
 「レンさん、進歩ないんですね…」
 長身の青年ががっくり項垂れる。
 「それは否定できないかもしれない」
 あらら、と慌てたキョーコは急いで前方を指した。もう門から抜けるところで、すぐ先の空気が陽光に満ちて白く見える。
 「ほ、ほら街に入りますよ。元気出して下さい。ここで幸せになりましょう。ね?」
 必死に言うと、レンが顔を上げた。
 「本当に…?」
 やっと自分の言った言葉の持ち得る意味に気付いてキョーコは真っ赤になる。
 「え、あのえっと、とにかく」
 うろうろ言って先に立ち、門の陰から出た。
 「ここで…」
 市内へ向けた目が、止まる。
 「…!?これは」





 
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 ハイ花うて名物・波乱来ました~(笑)。ドラマティックじゃないドラマって難しいよ実際のハナシ。


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