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ROMANCIA 19

 街全体が、どんよりと淀んだ空気に包まれていた。
 真昼だと言うのに、通りを歩く人の姿がほとんど見られない。買い物に出たらしき少数の人々だけが、せかせかと足早に歩み交っているが、その姿は寸秒も早く用を済ませねばというような焦りを感じさせた。
 「…?」
 不審のままに足を止めるキョーコは、地を這い漂う異臭と低い人の呻き声に気づく。どこからと視線を巡らせれば、城壁のきわにいくつも天幕が張られ…
 その入り口には、疫病を示す黒い旗がだらり垂らされていた。さらに奥を見通すと、収容しきれない病人が蓆を立て回した中に寝かされているようだ。
 「何てこと…!」
 ほんの数日留守にした街の変わりように顔色を変えるキョーコの腰が、後ろから大きな手に掻っ攫われた。
 「!?」
 レンに抱え上げられて浮いた足の下には、黄褐色の汚水が溜まっている。
 「これを噛んで」
 口の中に何か押し込まれた。考える間もなく口を動かすと、ぱっと爽やかな芳香が散って鼻腔に抜ける。薬草らしい。
 長身の青年は乾いた地面に彼女を降ろし、庇うように前に出た。
 「その草は免疫力を高める薬効があるから、何の病気かはっきりするまで噛んでた方がいい。それと、汚れた水や土に触れないこと」
 「は、はい…あの、レンさん。た、助けてくださいっ…」
 キョーコが思わず袖をつかむと、竜の化身は一瞬目を見開き、それからきっぱり頷く。
 「大丈夫、今度こそ君を死なせたりしない」
 「今度って…いえあの、私だけじゃなく街の人たちを」
 引っかかりながらも言い足す娘に、彼はすこし目を眇めて微笑んだ。
 「…わかってるよ。君は、そう言うと思った」
 「え」
 「さて、まずはあそこの責任者に会いたいな。このあたりの領主ってことになるのかな?」
 2人で天幕の列を見渡した時、通りの向こうでざわと人声が上がった。同時に、多人数の規則正しい足音。石畳に打ち当たる金属音を聞けば、普通の街人の靴音ではない。
 じきに、交差する通りから甲冑をつけ槍の穂先を揃えた兵士の一団が姿を見せた。
 「ああ、城兵の見回りかな?ちょうどいい」
 レンは待つ構えになるが、ふと兵たちの手にするものに気づいて眉根を寄せる。彼らは左手に盾と槍、しかし右手にはそれぞれ松明を携えている。
 「…?」
 この昼間に、と訝しむうち、兵たちはそのまま天幕を囲むように展開し始めた。そのさまは、まるで敵に対するようで。
 「まさか」
 呟くレンとキョーコに、隊長らしき羽根つき兜の人物が下がっていろと叫んでよこす。次いで、兵たちには松明への点火が命令された。





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 最近、睡眠時間の多寡がダイレクトに思考能力に関わるカンジ…もちょっと寝ないとダメかも。体力落ちたなあトホホ。


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