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ROMANCIA 20

 天幕の中から白い服を着た数人の人々が走り出て来る。
 「なんですか貴方がたは、何をする気ですか!」
 つかみかかるように尋ねる先頭の白衣は医師らしい。右手に薬鉢を持ったままのその青年を、隊長はうるさげに見遣る。
 「お前たちは、城壁の外へ移動しろという領主様のお達しを再三に亘って無視している。街人の安全を鑑み、非常手段もやむなしということになったのだ」
 「そんな!無茶が過ぎます、動かせない人たちもいるのに…それを火で追い立てようなんて」
 「消毒にもなってよかろう」
 「なっ…」
 「どの道もう決まったことだ。逃げる分には追わん、さっさと街から出て行くんだな」
 羽根兜の男は傲然と言い、青年に背を向ける。
 「火をかけろ」
 「や、やめて下さいっ、生きてる人たちを焼き殺す気ですか!!」
 悲痛に叫ぶ医師の声も虚しく、兵たちの手から火のついた松明が次々と放られる。
 「あ…」
 キョーコは自分がいま見ているものが信じられないと言いたげに大きな瞳を見開き、じりとあとじさった。背中がレンにぶつかり、恐怖に青ざめた顔で振り返る。
 「レ、レンさんっ…」
 「ひどいな…」
 天幕の端には早くも火が移っている。中から何人もの人々が、あるいはよろめき、あるいは這うようにいざりながら出て来るが、誰も彼も目に力がなく、いかにも重篤な様子が痛々しかった。
 さきほどの青年医師が、必死に人々を誘導している。その指示のもと手早く担架を組む人々や病人を背負って走る者の姿も見えた。
 「ど、どうしよう。火を…火を消さないと」
 キョーコはおろおろ呟き、肩の守護石に手を当てた。
 「ええと、水、水…あ、氷!
 『貫くもの しろがねの矢…』
 氷魔法の呪文詠唱を始める彼女の肩になにかが触れた。途端に、きん、と甲高い音がして、集まり始めていた魔力が宙に散る。
 「レンさん!?」
 邪魔をしたのは大いなる力を身に具える竜の化身だった。さすがに干渉力も桁が違う。
 「氷や水はだめだ。下手をしたら病を拡げてしまう」
 早口に言い、レンはでもそれじゃと言いかけるキョーコの手を取った。
 「えっ…」
 女魔道士がびくりと立ち竦んだ。頭の中に、何かの文字列が流れ込んでくる。これは…
 「風の呪文…?」
 「それを唱えて。俺がサポートするから」
 「で、でもこれ」
 「いいから」
 言い切られて、キョーコはまだ不安げにしながらも手指に印を結んだ。
 『天翔けり 雲を断てる姿なき翼…』
 大気が、のしかかるように重さを変えた。




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 マホー恥ずかしいだわ…///


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