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フォルトゥナタ(22)

 「お召しにより参上いたしました」
 「ほほう、えらく機嫌がよさそうだな?クオンよ」
 ゆったりしたトガを纏った人物が、面白がる口調で言った。
 「皇帝陛下こそ、ご機嫌うるわしく…」
 入り口で礼を取るクオンティヌスのこめかみが微妙に引き攣れるが、精緻な彫刻の入った玉座に着くローマの主は一向気にする様子はなかった。
 「ふふん。まあ、ローマ皇帝ってのはこれが辛いとこだが、安定してなきゃならんのさ。そんなことより、畏まってねえで近くへ来い」
 それこそご機嫌で言って、ちょいちょい、と指で若者を招く。
 「は…失礼いたします」
 「もっと」
 進み出るのを更に促し目の前まで来させてから、彼は顔の横に掌を立てる。
 「なんでも、堅物のイリストゥリスがえらくかわいい奴隷を手に入れたってー噂じゃねえか。ちと遅いが、お前もお年頃ってー奴かねえ」
 「恐れ入りますがツッコミ所が満載です」
 ひそひそ囁かれ、クオンティヌスは疲れた声を返した。しかし、やはり相手には堪えない。
 「ほー、たとえば?」
 「私は別に堅物というわけでなく、単に今まで主に軍団の中で暮らしていたので必然的に女性との接触もなかっただけです」
 付け加えるなら同性趣味もない、と思ったが、若様これは言わなかった。特にまだ少年の頃など上官や同僚に迫られたことも一度や二度ではないが、今それを言う気にはなれない。
 「それと」
 余計な想念を振り払い、声を強くした。
 「ウルバは奴隷ではありません。マギールス兼スクリバ(秘書)として雇った自由民です」
 「かわいいってとこは?」
 「否定しません」
 うっかり言い切ってから渋面を作る。皇帝はニヤニヤ笑い、結構結構とうそぶいた。
 「しかし、お前が料理人ねえ。食うことにあまり執着がねえとか言って俺の饗宴も逃げやがる癖に、その娘の料理は別か…って、ウルバ?」
 「はい。ご存知ですか」
 「ついこないだ、お前の親父がすげえ料理人に出張してもらったとか言って自慢してたな。うまいわ早いわ謙虚だわで、最高の料理人だとか大はしゃぎしてやがった。その娘がそうなのか?ずいぶん若いって聞いてるが」
 皇帝の目に興味の色が増して行くのを認めて、クオンティヌスは少々後悔し始めた。王宮にその料理人を招いてみたいなどと言い出されては、皇帝は彼女を彼から取り上げるようなことはするまいが周囲がうるさくなる可能性が高い。
 この話はもう切り上げようと、おざなりに頷いて彼は本来の目的に戻ることにした。
 「ところで、今日はどういったご用件でのお呼び出しですか?まさか、私の家庭環境調査だけとは思えませんが」
 「ああ、ある意味そうなんだがな…」
 「はい?」
 カンだけで大ローマを運営する帝王の言葉に、騎士は非礼も忘れてぽかんと抜けた声をこぼす。すると皇帝はやたら嘘くさい温顔を作り、ひとつ頷いた。
 「うん、お前な。そろそろ20人委員くらいやっとけ」




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 キョーコさんの本名を隠す親子(笑)。


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