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きみだけをみてる(前編)

 「じゃあ蓮、俺は上階で用を済ませて来るから」
 例によって有能かつ担当俳優の月下氷人を自任するマネージャーは、
 例によって某少女タレントのスケジュールまで把握していたが、
 例によってその所属セクションの部室の近くで担当俳優を解放してやった。
 「終わったら携帯に連絡入れるから、それまでひとときの逢瀬を楽しんでくれ」
 例によってぐふふ、と笑うのだが、
 「わかりました、ありがとうございます」
 素直に頷くトップ俳優の笑顔だけが例にはよらなかった。
 そう、苦節ウン年、敦賀蓮はついに最愛唯一の少女を手に入れたのだ。ならばそのベタボレぶりを、とうから心得ているマネージャーになお隠す必要の果たしてあらん乎。
 「ちぇ、からかい甲斐がなくなっちゃったな」
 とこれだけは残念そうに呟いて社が去る。
 蓮は日本人規格を大幅に外れる長脚を優雅かつ迅速に運び、忠良なる恋人として愛しい少女のいるはずのラブミー部々室などという部屋に急ぐのだった。
 そう言えば、彼女はもうここを卒業してもいいのではと心の中で自分を指しながら彼は、じき目的のドアの前に立った。
 社長の所に2人で相談に行こうか、しかしめでたく卒業となれば彼女と会える場所が減るのか、と埒もない思考にノックの手が止まる。そこへ室内から声が洩れ聞こえ、そうしようと思ったわけでもないが自然に耳を澄ましてしまった。
 残念ながらそれは、期待した声とは違っていたが。
 「でもアンタ、敦賀さんとはかなり差があるじゃない」
 晩秋の風に似た凛乎の声はキョーコの親友・琴南奏江に違いない。すると彼女は今ひとりではないのかと多少残念な気がしたところで、蓮はおやと引っ掛かった。
 差とは何の話だ?
 なにやら嫌な予感を覚えるうち、今度こそキョーコの声がした。
 「そうなのよねえ。だから、時々疲れちゃって」
 (…!!?)
 蓮の受けた衝撃たるや。宇宙を照らして爆発する星を背負う俳優の耳に、おそろしい木霊がいんいんと繰り返される。
 疲れちゃって疲れちゃって疲れちゃって疲れ…
 (そんな)
 と思う。まだ付き合い始めていくらも経っていないのに。幸せで、問題がなく、一般的に今が一番いい時と言う状態のはずではないのか。疲れるとか何とか今から言っていては先が続か
 いや冗談じゃないと蓮は拳を握った。
 苦悩・トラウマ・鈍感・卑下・遠慮に勘違い。およそ負のフルコースをどうにか潜り抜けて、やっと思いを通じ合わせた矢先だ。弱気になる暇に、原因を究明し駆逐するに如くはない。
 とは言え…
 過去を思うにつけ、テキは難物ではある。
 ひとまず対策を練ろうと、俳優はよろつく足を叱咤してその場をあとにした。床を這い従う自分の影さえ、色を薄くしているように見えていた。





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 ひめ様の花うてデーリクより。
 リク内容はほぼそのまま筋なのでヒミツ~。


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