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フォルトゥナタ(19)

 決まった曜日に立つ奴隷市が準備されていて、その一角には開催前から人が集まって来ている。独特の喧騒というのか、周囲がみんな悪人に見えてキョーコは落ち着かなかった。多分に、落としたらごとりと音のしそうな金の指輪を握り締めているせいもあるかもしれない。
 クオンティヌスに預かった印章。ちなみに上限はと恐る恐る聞いてみたら、奴隷一人くらいならなしでいいよとあっさり言われてしまった。しかし、それが却って恐ろしい。
 「おや、昨夜のお嬢さん」
 ドキドキのキョーコは、ひょいと声をかけられて飛び上がってしまった。
 「へひゃい!?」
 慌てて振り返ると、昨夜の太った奴隷商人が立っている。
 「お友達が心配で来たのかね。だが競りの前に会わせるわけには行かないな…と言うか、会わない方がいいと思うが」
 「わ、私は、ショーちゃんを助けたくて」
 「おやおや」
 初老の商人はわざとらしく眉を上げ、肩を開いて見せた。
 「奴隷を逃がして捕らえられれば、2人ともFの焼印が押されることになるよ」
 うす笑いを浮かべるので、キョーコはぎゅうと拳を握りこんだ。仕事がなければ付き添えたのに、と済まなそうな顔をしたクオンティヌスの声が耳に蘇り、少し心強くなった。掌の中の感触は、そんな彼の気持ちでもある。
 「違いますっ」
 彼女はきっぱりと言う。
 「ちゃんと、“お買い上げ”です。妙な脅しは要りません」
 「ほほう」
 商人が半信半疑くさく鼻を鳴らした。横目で自分のテントを見遣り、検分する目をキョーコに戻した。
 「あんたが?」
 「そうですっ」
 「ふうむ…まあ剣闘奴隷なんぞ最下層の人間だがね、買うとなると一応技能持ちってことになる。あんたにそれだけ払えるのかい?」
 勿論パン職人は、高価でもない地味なストラ〈女性用の長衣)を身につけているだけだ。しかも、よく見ると今朝パンを焼いた時に飛んだらしき小麦粉が落としきれていない。疑われるのも無理のないところだが、キョーコはできる限りの威厳をかき集めて明言した。
 「だから来たんです」
 他の人間には見えないよう注意しながら、商人の目の前で掌を開いて見せた。
 「クオンティヌス・ユリウス・イリストゥリス様の印章です。契約によって、今回の費用を払っていただくことになっています」
 「!?」
 さすがに男は驚きを示したが、昨夜の情景を思い出したらしい。瞳には徐々に納得が浮かび上がる。
 「じゃあ昨夜のは、本物だったのか…だけど、なんであんたにここまで」
 ついでに現れていく詮索の色は、どうも未発達な胸元に注がれているようだ。腹が立ったが無視して、キョーコはきっぱり言った。
 「ショーちゃんを解放して下さい」





 
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 逃亡奴隷の額には「fug」、泥棒には「fur」の焼印が押されたそうです。コワー。


 ところで、この回をうっかりすっ飛ばしてしまったので、ナンバー振り替えます。あとで更新の日付も入れ替えますのでよろしゅうに~。
 てゆか、もう1回分入れ替えると思います。やっぱ要るかな~、ってシーンが入ってないんですよねえ。


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