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フォルトゥナタ(20)

 「ふうむ…」
 奴隷商人は下唇を突き出し、何か考え込むそぶりをする。
 キョーコは次第に混雑の度合いを増していく周囲を見回して口の端を曲げた。どうにか、競りが始まってしまう前に話がつかないだろうか。
 どう言おうと考えているうちに、商人が先に口を開いた。
 「名指しのお買い上げとなりゃ、一丁吹っかけたいところだが…」
 「じょっ冗談じゃありません!!」
 キョーコとて商売人ではある。仕入れで鍛えた値切りのわざの冴えを見せてくれると意気込んだところで、相手はまあまあと両手を挙げた。
 「最後まで聞いてくれ。普通なら、まあそうなるって話だよ。誰でもいいなんてのと違ってコイツでなきゃって言うんなら、それなりに出すもんだろう?」
 それはそうかもしれない、と思わざるを得ず、キョーコは返事をしなかった。競りの前にと思うのも、それがあるからだ。
 男が更に続ける。
 「だけどまあ、このローマでパトリキ様にご縁が繋がるとなりゃ話は別だ」
 「な…ちょっと待ってください、クオンティヌス様に付きまといでもする気ですか!?それだって冗談じゃありませんよ!」
 憤然と言い切るキョーコに、商人は小ずるい笑みを浮かべて見せた。
 「なに、当面はどうってこともないさ。何か困った時に思い出すかもしれない、ってだけでね」
 「そんな」
 「もちろん、困ったことなんてのがなきゃ万々歳、ご縁もそれっきりって話さ。…ってところで、2000セステルティウスでどうかね」
 「う…」
 パン屋が小さく呻く。妥当と言うか、おそらく本当に安めに見積もられていると思う。しかしそれと引き換えに、クオンティヌスに迷惑がかかることがあっては。
 心中、迷いに迷ったが、キョーコは結局首を振った。商人が渋面をつくる。
 「まだ値切る気かね、しっかりした嬢ちゃんだな」
 「違います」
 呆れ声を退け、彼女は腹に力をこめた。
 「3500出します。ですから、ご縁はこれっきりで」




 「助かった…」
 ぶつりと呟く幼馴染は、さすがに消耗した様子だった。
 「競りが始まったら、マッパで台の上に並べられちまうとこだ」
 「!?」
 真っ赤になるキョーコを見て、彼は漸くちらりと笑った。
 「は、早く行こうショーちゃん!もうこんなとこいたくない」
 娘は台上に上がる奴隷商人の姿から目を逸らし、とっとと歩き出す。応じたショーが続くのと連れ立って、ひとまずはキョーコの店に行った。
 「これから、どうするの?」
 奥の中二階に座らせていくつかパンを与えると、水しか飲んでないと言う幼馴染が早速食べ始める。質問に答えたのは、丸一個食べ終えてからだった。
 「そーだな…どっかよその街行って、そこのファミリア(剣闘士団)に入るか…」
 「え。まだやるの…?」
 「ったりめーだろ。俺様の美貌と才能は、大観衆ん中でこそ花開くんだよ。それにゃ、剣闘士はうってつけの職業だ」
 「でも…また同じようなことになったらどうするの」
 「今度は気ィつけるって、心配すんな。ってか」
 けろりと笑ったショーが、次のパンをちぎりながらふと首をかしげた。
 「お前、よく俺を買う金あったな」






 
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 あれ~?また1回入れにゃだぞ~?うーん、どうも迂闊でしたな。


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