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たいせつでたいせつで(156)

 「どうしたの?」
 しがみついて行く少女をひょいと抱き上げ、蓮がやさしく尋ねている。
 そうかキョーコは我慢していたのだと気付き、社はかける言葉を失った。マカナンが切ないと言った意味がやっとわかったと思う。
 「わかんない…」
 長身の青年の肩のあたりで小さな声。蓮は社とマカナンに視線を向けるが、二人が何か言うよりも先にキョーコがもぞと顔を上げた。
 「あのね、私、ね…要らない子だけど、要らない子じゃないの」
 年の割に聡明なキョーコにして舌足らずな言葉だった。蓮はヒントを求めるように視線で宙を薙ぎ、自分の首にかけられた細い腕を見てすこし目を伏せた。
 「君は要らない子なんかじゃないよ」
 「うん…」
 涙こそなかったが、キョーコはすんと鼻を鳴らす。駄目押しとばかり青年が付け加えた。
 「それだったら、とっくに俺が貰ってる」
 「ほや!?」
 途端に少女は茹で上がり、ついでに今の状況に気付いて慌て出す。
 「や、やだ私、ごめんなさい!あの、もう大丈夫だから、降ろして」
 「残念」
 蓮がやけにのろのろと小さな体を腕から降ろす。ちた、と地に足をつけ、真っ赤な顔のキョーコは支え手を見上げた。
 「えっと…ありがとう」
 「何が?」
 黒髪の青年が微笑む。
 マカナンと並んで二人を見守っていた社は、思わずほうと息をついた。隣へひそひそと囁く。
 「蓮君は信頼されてますね…まあ、あれだけ大事にしてるんだから、そうでなくちゃ淋しすぎるかも」
 「まーな」
 映画監督が、珍しく素直めに頷いて苦笑した。
 「あれがこの先どう変わってくのか、オッサンは楽しみでしょーがねえのさ」
 「悪趣味ですねえ」
 社も苦笑したが、一方でその気持ちもわかる気がすると思う。
 「御伽噺みたいな二人に、なるといいですね…」
 ぽろり呟くと、マカナンが視線をよこす。10割の笑顔で背中をばっしと叩かれた。
 「そーだな!」
 「げほ」
 軽く咳き込む社をよそに、彼は果敢に蓮の注意を惹いた。
 「よう、帰る前に嬢ちゃんのユカタ買いに行こうぜ!」
 「え」
 「あ、いいですね」
 青年の顔には“監督にしては気が利いてる”と墨痕もあざやかに書かれている。しかし、それの次の一言までだった。
 「だろ?俺がいーの選んでやるよ」
 にっかり笑って親指で自分を指すマカナンに、蓮はにっこり聖らかな微笑を向ける。但し温度は、
 「何言ってるんですか、俺が選びますよ」
 …とても低い。
 マカナンもよくやるなあと、社は呆れずにはいられなかったものだった。




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 日本編も半分は終わりかなー。←半分かよ。


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