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たいせつでたいせつで(157)

 「お?」
 蓮の祖父宅の前で一番にタクシーを降りたマカナンが、玄関の方を見て首を傾げている。
 「どうかしましたか?」
 蓮に助け降ろされたキョーコが尋ねると、彼はひょいと振り返って前を指差した。
 「なんか、ガキがいるぞ。玄関トコ」
 「え…あ」
 少女は太鼓腹の横を回り込んで目を丸くした。
 玄関脇で柱にもたれてしきりに紙に何か書いているのは。
 「ショーちゃん!」
 「えっ」
 蓮も映画監督を押しのけて状況を確かめ、胡乱げに眉を顰めた。それも知らず、キョーコは小走りに幼なじみに近付く。
 「ショーちゃん、どうしたのこんなところで」
 「あ?」
 間近く問われて、少年がやっと顔を上げた。
 「あー…もう夕方か」
 がさがさと片付ける手元の紙は5線紙らしかった。
 「来たらイネーんで、ちょっと待つかと思ったらうっかり集中しちまったな」
 などと言うのだが、声にはさすが俺、の響きがある。あ~てぃすとっつうのはこうでなきゃな、的な。
 「曲書いてたの?そう言えば様子見に来るって…でも、てっきりさぼると思ってた」
 一方、キョーコはなかなか鋭いことを言って、きょんと笑った。
 「じゃあ、いっしょにごはん食べてく?いい?蓮さん」
 振り返られて蓮はダメとも言えず不承不承頷いた。
 「勿論、キョーコちゃんがそうしたいなら」
 「ありがとう!ね、ショーちゃん。どう?今日はね、鮎の甘露煮と鮎飯なの。ショーちゃん好きでしょ?」
 「あー、あれは骨取らなくていいからなー。お前が作るんだよな?」
 「うん」
 「じゃあ食ってく。腕が落ちてないかチェックして親父に報告しねーとな」
 「えー…」
 キョーコはちょっと困った顔をしているが、蓮の方はそれでは済まない。表情こそ変えてはいないが、額のあたりが微妙に引き攣れている。それでもどうにか、穏やかに言った。
 「キョーコちゃんの料理の腕は、最高だよ」
 「あ、そんでよー」
 綺麗に無視される。
 「……」
 「飯作りながら、コレ頼むな。約束したろ」
 ショータローがびらりと掲げたのは夏休みのドリル。仕方なさそうに笑うキョーコを見つめる蓮を、大人2人は片や面白そうに、片や心配そうに見ていた。




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 今でも夏休みのドリルってあるんかいね。


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