スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

ROMANCIA 25

 「ええっ、そんな、むっ無理ですよ!?」
 一つのテントから、素っ頓狂な声が上がる。するともう一つ、もっと深く落ち着いた男の声が続いた。
 「そんなことないよ、大丈夫」
 一瞬視線を集めた人々が散っていくのを感知していたのかどうか、レンはちらと入り口に垂らされた布を見てからキョーコに笑顔を向けなおす。
 「でも私、地中の水脈を呼び寄せるなんて、そんな高度な魔法は使えませんっ」
 「俺がちゃんとサポートするから」
 「うっ…」
 女魔道士が呻いた。
 「貴方にそんな風に言われると、できるような気がしちゃうじゃないですか…これはいいんですか!?」
 「え」
 「人としての力、って範囲に入るんですか」
 「ああ」
 蒼い竜の化身が笑う。
 「俺が雨を降らせ続けて池でも作るよりは、よほど人間らしいんじゃないかな」
 「……☆☆☆」
 なんと言う感覚の差。キョーコに絶句以外の何ができただろう。
 「それにほらキョーコ、始めに設定したじゃないか。俺は偶然この地に来た薬師。魔道士は君の方なんだから、魔法を使うなら君でないと」
 そういう問題じゃないと思うのだが、それもまた問題ではある。レンに直接魔法を使わせたりしたら、あっと言う間にその実力が知れ渡り名声は天まで高く…ということにもなりかねない。それはきっと、竜であるとばれる危険性を差し引いても彼の望むところではないのだろう。
 だからと言って、彼女が彼の力を借りて大魔法を駆使し、似たような結果になるというのも御免被りたい。八方塞がりのようなこの状況を打開する妙手がどこかに落ちていないものか…
 悩める女魔道士を、レンが不思議そうに見ている。何を呑気な顔をしてるんですかまったくもう、と言いたかったが仮にも師匠と仰ぐ人物いや竜だ。
 「水は必要だよ?」
 困っている間に、決定的な一言を吐かれた。それは、絶対にそうだ。人間に限らず生き物がいるところ、水は必ずなくてはならない。ましてや、自力で水汲みにも行けない病人を多く抱えるこのキャンプで、手近に水場がないのは致命的だ。本当なら街の端をかすめて海へ続く川の上流に移転したかったが、街の人々の感情を思うと疫病者を連れてそこへ行くことはできなかった。ヒカルたちは、元気な者でかわるがわる水汲みに出るつもりでいるようだが、ただでさえ人手の足りないところへ毎日の賦役が増えては大変だろう。
 結局、レンは正しい。尻込みしている場合ではないのだ。
 「…じゃあ、あの、夜中にこっそりってことで…」
 言ってみると、青年が笑う。
 「OK。二人きりでね」
 「えっ、あ、はあ…」
 言い回しに難があるけれど、別に特別な意味があるはずはない。キョーコはスルーを決め込んで実際的な話に移った。
 「何か用意するものはありますか?術の触媒とか…」
 「そうだね…俺の鱗をもう一枚提供するかな?」
 魔道士が大きな目を瞠る。そう言えば、そんな貴重なアイテムが難なく手に入るのか。
 「それで、私は何をすればいいんでしょう」
 職業柄、少しわくわくし始めながら尋ねて。彼女は。
 「水の精を呼び出して、水脈を繋いでもらおう」
 その答えに、沸騰しそうになった。
 「水の精…っ!!」




  web拍手 by FC2
 
 


 キョコさんドリームが叶いそうです(笑)。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。