スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

フォルトゥナタ(27)

 「まあキョーコ、素敵だわ!とっても綺麗よ!!」
 「え…そんな」
 力いっぱい褒め上げてくれる佳人に、キョーコは尻込みするように両手を振った。
 「ユリエナさまのお隣では、とても自惚れる気にはなれません」
 ローマ中の憧れの的であるステラヌス夫人は、白いストラの胸下からウエストをラベンダー色の紐で締め、ほっそりとしなやかな肢体を弥が上にも優雅に見せつけている。背中は肩から下がるマントーに覆われ、頭と肩には色鮮やかな刺繍をほどこしたバッラが巻きつけられていた。そこからこぼれる金の髪が、陽と風を受けてさらさらと輝く。
 「今日もお美しいです…!」
 「あら、ありがとう。でも、私の言ってることも本当よ?今日のあなたったら、どこのご令嬢にも負けやしないわ。私の娘だって紹介して回りたいくらい」
 「そ、そんな恐れ多い…っ」
 ますますあとじさるようなキョーコから、名門夫人は我が息子に視線を移した。何してるのかしらこの子はふがいない、と瞳が雄弁に語る。
 「…とにかく、行きましょうか。陛下が待ちかねてらっしゃるでしょう」
 母の輿を呼び、クオンティヌスは王宮を指した。キョーコがごくりと息を飲む。それに気付いたユリエナがやさしく頬に触れた。
 「緊張しなくていいのよ、キョーコ。陛下はとても気さくな方だし、王宮には先にクーも行ってますからね」
 「は、はい」
 至近距離で見る美貌に、キョーコの目がうっとりと潤む。
 「ほら母さん、早く輿に乗ってください」
 急かす騎士の声には、少しつっけんどんな響きがあった。





 「ようこそ、ウルバ?」
 皇帝は、意外にやわらかく笑んでいる。キョーコとしては市中に流通するコインの肖像から、もっといかめしい人物を想像していたのだが。
 「は、はい。皇帝陛下にはご機嫌麗しく…」
 「ああ、堅苦しい挨拶は抜きだ。まあ寛いでくれ、クーたちもすぐ来るだろう」
 と長椅子を示されたけれど、そこまで歩いて行ける気がしない。しかし皇帝の勧めを無視してただ固まっているのも失礼にあたるかもしれない、と必死で足に力をこめる。
 「恐れ入ります…」
 ふら、とよろめくのを素早くクオンティヌスが横から支えてくれた。これまた恐れ入るほかなく、キョーコは一層縮んでしまった。
 「す、すみませんっ」
 慌てて背筋を伸ばすと、雇い主が不満げに目を逸らす。
 「なんで俺が触ると、避けようとするのかな…」
 「え?」
 緊張に塞がれた耳には、低い呟きが聞き取れなかった。思わず見上げても、クオンティヌスは何でもないと微笑に変える。
 「陛下、御前ご無礼を」
 ひと声かけたと思ったら、彼はひょいとキョーコを抱え上げる。驚く間もなく長椅子にストンと降ろされ、娘は目を剥いたまま絶句した。白い顔に、一気に血の色がのぼる。
 「ほほう、なるほど」
 何やら満足げな声。視線を戻せば、皇帝陛下はニヤニヤと顎を撫でている。
 何がなるほどなのだろうか。訳がわからず、しかし相手が相手だけに問うこともならず、キョーコは内心で大いに首を傾げるのだった。





web拍手 by FC2
 
 


 若様はがんばっていらっしゃる(笑)。


関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。