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ROMANCIA 28

 「そうそう、その薬草の根をすり潰して…でも、花が咲いてる時期のものは駄目だよ。毒が生じるからね」
 「花はいつごろですか?」
 ご~りご~り。薬研を使いながら、キョーコは師とする青年(ニセ疑惑あり)の手元を見る。自分から薬師役を言い出すだけはあって、レンの知識はかなりのものだった。施療スタッフにも重宝がられている。
 「春先だね。雪が消え始める、早い頃」
 乾燥させる薬草を束に作ったレンは、すいと立ち上がって梁にそれらを吊るしにかかった。施療キャンプの中で、今のところ彼の薬草小屋だけが曲りなりにも木造になっている。
 「その頃には、毒を抽出して別の用途に使うんだ」
 「そうなんですか~。無駄がないですね!」
 キョーコはすり終えた生薬を小瓶に量り分け、封をして棚に並べた。
 「そうだね。君の仕事と同じくらい、かな。覚えが早くて助かるよ」
 「え、そんな…」
 褒められた娘は、しきりに照れながら竜の化身を振り返る。そこで、棒立ちになった。頬に見る見る血の色がのぼる。
 (なんて顔で、私のこと見るの……)
 甘やかで温かな、大切で仕方ないものを見るような。跳ねた心臓は、何を知らせたのだろう。
 「どうしたの、キョーコ」
 様子がおかしいと思ったらしい、レンが薬草を置いてつかつか歩み寄って来た。
 「えっ、あっ…いえ!その、な、何でもありませんっ」
 キョーコは急いで作業に戻る。しかし耳まで赤く、語尾が震えていては見逃されるはずがなかった。
 「キョーコ?」
 レンの長い腕が彼女の両脇を囲い、大きな手は戸棚の枠をつかむ。閉じ込められた格好で固まる女魔道士に、少し顔を伏せた長身の青年がそろそろと問う。
 「何か、気に障ることを言ったかな…」
 「え!?そんな、違います!」
 慌てて振り返ると、すぐ近くで目が合った。
 「あ…」
 キョーコはまた固まってしまう。しかしレンの顔を見て、じきにその肩から力が抜けた。叱られた子供のようにしおたれて彼女を見ている様子は、とても古の竜の化身とは思えない。
 「俺、は…人じゃないから、よくわかってないんだと思う…」
 ぼそぼそと綴られる弁解じみた言葉。嫌わないで、と言われているようで妙にくすぐったい。
 (なんだか、かわいい…)
 彼に冠する形容とは思えないことを思って、キョーコはつと右手を上げる。少し屈んでいる今なら、頭を撫でられそうだ。
 目標地点を見上げつつ、手を伸ばして行く。レンは目を見開き、もう少し頭を下げてじっとしている。
 細い指の先が、黒い髪に触れた。
 と同時に、
 「京子ちゃん!!」
 彼女の偽名というほどでもない偽名を呼ばわって、小屋のドアをぶち開けた者があった。




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 花うてはこーゆースタンスだと理解が浸透している模様ですので、遠慮なく邪魔を入れる(笑)。



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