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たいせつでたいせつで(165)

 「再会したって頃の話なんざさせたのは、まずったかな…」
 マカナンが小さく呟いた。言葉の意味するところこそ社にはわからないが、彼が珍しく凹んでいることはわかる。意外なだけに気の毒な気がした。
 同時に、それはあのしっかり者の少女がこの極楽トンいや能天いや軽やかな映画監督にさえ重いものを背負っているということかと気付き、眼鏡の日本青年は小さく溜め息をつく。
 キョーコにも、そして蓮にも辛いことだろう。
 ざわざわと流れる人波の向こうを見透かすように、彼は背伸びをして目線を遠く投げてみた。もちろん、背の高い背中はとうに消えていたけれど。



 祭囃子の音が、地上30cmくらいを漂うように聞こえる。
 キョーコを抱えたまま石のベンチに座っていた蓮は、小さな背中をぽんぽんと叩いた。
 「落ち着いた?キョーコちゃん」
 「……」
 少女がもぞと身動きするが、答えはない。蓮は軽々と彼女を抱え直し、耳を胸元につけさせた。
 ややあって、キョーコが長い息をつく。
 「心臓の音って、安心するのね…」
 「そう?よかった」
 小さく笑った蓮が髪を撫でると、彼女は身をすり寄せて目を閉じる。珍しく甘えられ、青年には望外の幸運ともなった。
 「ごめんなさい」
 キョーコがぽつりと言う。
 「何が?」
 「私、クオンに甘えてばっかり。あ、いまは蓮さんだけど」
 「いいよ、クオンで。キョーコちゃんが自分のって思えるなら、俺もその方が嬉しいし」
 「…もうっ…」
 とす、と青年の胸に頭突きして、少女は自分の顔を覆ってしまった。手にまで血の色がのぼっている。
 「まだ全然…」
 「えっ?」
 胸元にこぼれた声をよく聞き取れず、蓮は問い返しながら顔を覗き込もうとした。しかしキョーコはぶるぶる首を振って拒む。
 「な、なんでもないの。ただ…もうちょっと成長したいなって」
 「ああ」
 蓮が笑った。
 「それは、俺も思うよ。でも、焦ると余計にうまく行かないみたいでもどかしい」
 「クオンも!?」
 「そりゃあもう」
 青年は瞳を緩め、勢い込む少女の背中を引き寄せる。
 「だから、ゆっくり大きくなろう?一緒にね」
 額に唇をつけるとキョーコは小さく震え…
 自分よりもかなり高い位置にある頭の上の空気に手を伸ばした。
 「クオン、それ以上大きくなる気?」
 残念ながら声が揺れてしまい、軽口には聞こえなかった。



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 だめだ体質に合わん。


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