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たいせつでたいせつで(166)

 ひゅるる…
 ほそく上る音に続いて、ぱん、という破裂音が聞こえた。
 「!?」
 驚いたクオンがキョーコを抱えて身を低くする。その背中に、鮮やかに映る炎の色。
 「ク、クオン。花火よ?」
 いきなり押し潰された少女は抗議の意をこめて自分を抱える腕を叩き、もがもがと這い出した。
 「あ、ごめん…そうだよね、ここは日本なんだし。そうそう銃声なんて…」
 蓮が息をつく。なだれるように開いて闇の底へ堕ちて行く条火を見ながら、軽くかぶりを振った。
 アメリカの人ねえとキョーコは思ったが、咄嗟にまず自分を守ろうとする人物に揶揄めいたことを言うのも憚られる。
 「今日は花火大会もあるのかしら?昔は、お祭りとは別の日だったんだけど…」
 「ありゃ市の大会じゃねーよ」
 いきなり割り込んで来た声に、少女はさっと振り返った。
 「ショーちゃん!?」
 どこにいたのかどこから現れたのか、ショータローが立っている。腕を組み、胡乱げに蓮を睨んでいるのだが、手にずらりと持ったあんずあめや綿菓子、腰に下げた金魚入りのビニール袋や水ヨーヨーが彼の気迫を明らかに損なっていた。祭りをよほど満喫していたらしい。
 キョーコは急いで蓮から離れ、照れ臭そうに、それをごまかすようにどうでもいい質問を放つ。
 「ライダーのお面は買わなかったの?ショーちゃん好きだったのに」
 「誰かに見られねーように、帰る直前に買う」
 キョーコの問いに返されたやや悔しそうな答えは、プライドと欲求の狭間に揉まれてのことか。親指で自分の背後の花火を指し、
 「ありゃ、碧涛荘が客寄せにやってんだよ。うちに客取られて危なくなって来たとかで、くにくのさくって奴だな」
 お坊ちゃまはライバル旅館のサービスを貶しつけて軽く肩をすくめて見せる。
 「そうなの…」
 他に言いようもなくキョーコが頷くと、彼はふんと鼻息を噴いて身を返した。
 「そろそろガキは帰る時間じゃねーのか?この辺、じきにアベックだらけになるぞ」
 「ア…」
 少女の顔が真っ赤に見えるのは、丁度弾けた大輪の花火のせいだったのか。
 「え、えっと、とにかく、監督さんと社さんのとこに戻らなきゃ」
 彼女は蓮を促して立たせ、少し背伸びしながら襟元を直してやる。自分の涙の滲みたあとに気付いて慌てた顔をした。
 「ご、ごめんなさい」
 「キョーコちゃんが謝ることなんか何もないよ?」
 青年は優しく言うのだが、器用に片目だけがショータローの背中を見ているような。と思ううち、その少年が振り返ってキョーコの手首をつかんだ。
 「何やってんだよ、早く来いって」
 「え、ちょっとショーちゃん」
 ぐいぐい引っ張られてたたらを踏む少女の耳に、風に紛れそうな呟きがやっと届く。
 「あいつの前だと、泣くのかよ…」
 え、と思った時には、手を放した幼馴染は自分だけさっさと先へ行ってしまった。





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 一応予定通りに進んでるかな…?長さはともかく。

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