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ROMANCIA 30

 領主の館は背後に海を控えた丘の頂上にあった。加えて高い城壁に視界を遮られ、街から中の様子を窺い知ることはできないようになっている。
 内部に入ると、城壁のあちこちに取り付けられた弩砲の台座が目に入った。更に城館の中へ案内されて進むうち、すこし開いた扉の向こうにずらりと槍やら剣やらの並ぶ部屋が垣間見える。明らかに武器庫だ。
 そうした様子を堅牢と取るかある種の後ろ暗さを感じるかは個人の問題かもしれないが、館全体を覆うムードが明るいものだとはお世辞にも言えなかった。
 やがてキョーコら一行は家令を名乗る老爺に控えの間へと案内され、謁見まで少しお待ち下さいと言い渡される。
 「謁見、ね…大魔道士様に自分から会いたがった割には大層だな」
 何を考えているのか、レンがぼそぼそ呟いた。どうも背後の空気が黒い。
 反して、 
 「どないしょ、俺、口から心臓出そうや…」
 もぞもぞと椅子の上で尻を直すのは半ば強引に同行させられて来たヒカル、自分の胸と口元に手を当てている姿はあまり医師らしく見えなかった。
 そして当のキョーコはと言うと、さして長くない道中では豪華な馬車のクッションを敷き詰めた座席でそわそわドキドキと期待にうち震えていたのだが、いざ館に入ると意外に質実剛健といった内装なのでがっかりしているようだ。
 「君は頼もしいね」
 すこし笑うレンに、彼女は不得要領のまま首を傾げる。
 「どういう意味ですか。あ、あと、大魔道士様はやめて下さい、意地悪ですね」
 軽く睨むと、竜はまた笑った。
 「俺が言ったんじゃないよ。どの道、素質は充分だと思うけどね。君のそういう、どこでも自分を見失わないところとか」
 「え~…」
 キョーコはますます不審そうに顔を顰める。
 そこへ、先程の家令が戻って来た。領主様がお会いになりますと言うので、三人はそれぞれに腰を上げる。レンが、すいと片手を差し伸べた。キョーコの手を取って引く。
 「え」
 戸惑うのへにこりと微笑みかけ、彼はそのまま歩き出した。エスコートされるままキョーコも足を踏み出す。
 入って来たのとは別の扉をくぐると、ごく短い柱廊に出た。高い天井からは幅広の美しい布が垂らされ、両側へ絞られて優雅なドレープを床へと雪崩れ落としている。
 その向こうで、びん、とにぶい音がいくつも起こった。
 ほぼ同時に、レンがキョーコの手を高く掲げさせる。そこから風が生まれ、布を射抜いて飛来する矢を巻き落とした。
 「なっ…!?」
 驚くキョーコを目顔で黙らせ、竜の化身はそのまま手を謁見の間の大扉に向ける。周囲の風が縒り集められたようによじり合わされてそこへ向かい、両側に立つ衛兵と扉自体を吹き飛ばした。
 がん、と音を立てて開いた扉の向こうへ、レンが妙に穏やかな声を向ける。
 「これは何の真似ですか?」





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 こちらも物騒入りました~。

 
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