くろひつじちらり。

 Black,black sheep,BLACKが上がりましたので、ちらりをば。
 追記をお開きくだせい。


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「ふふん」
大理石を張ったテーブルの面に、数冊の週刊誌がばさりと投げ出される。
「大した騒ぎじゃねえか、ええ?」
伝法な口調で言ったローリィ宝田は、彼の基本形の一つではあるが面白そうにニヤニヤ笑っていた。
昼間は、束帯を着用に及んでいたらしい。平安貴族の衣裳のうち、金銀の縫い取りも美しい袍は脱いで木の衣桁に広げて掛けてある。装飾の役にもなっているようだ。
現在はというと、小袖の上に衵と表袴だけの簡素な格好で寛いでいるのだが、その筒袖を包む広袖を翻して彼は卓上を指しつける。そこに乱雑に投げ出された雑誌の表紙には、いずれも敦賀蓮が名前を隠して出演した映画のタイトルが入っている。
「どこもかしこもカイン・ヒール、カイン・ヒールってか。評価に比例して正体暴きにもますます熱が入るって寸法だな」
「いずれ発表がありますから、それまでのことですよ」
対面に座る蓮が答えれば、芸能事務所社長は斜めにそっくり返って笑った。
「おーお、涼しい顔しやがって。鎮静剤セツカン=モガミ17はよほど効いたと見える」
「っ!」
口元にコーヒーカップを運ぶ大きな手が止まる。俳優はふとい溜め息を落とし、いかにも嫌そうに呟いた。
「社長の配慮には、感謝してますよ…」
するとローリィが得たりと膝を打つ。
「そいつは何よりだ。そうとなりゃ俺も切り出し易い」
「え」
愛とコスプレに生きる名物社長を、眼差しすずしい俳優は、不審もあらわにまじまじ見返した。
勿論、相手に動ずる気配はない。ひらひら片手を振り、
「じゃあ、その発表ってのの前に、もう一仕事突っ込んだって文句は言わねえよな?」
もう片手で顎を撫でながら言う。仕事、の一言に、今度はどんな難題を押し付けられるのかと警戒していた蓮は半ば胸を撫で下ろす思いだった。
半ば、に留めたのは賢明だったろう。
「ホレ」
と冊子が突き出された。
「台本、ですか?」
受け取った蓮は表紙に目を落として尋ねる。
「ああ、まだ第一稿だがな」
「映画なんですね…」
ぱらりと一開。最初のページには登場人物名が並んでいるが、まだ俳優名の記載はない。決まっていないのか故意に隠されているのか…蓮は後者と見た。なんとなれば、主人公名の下に鉛筆書きで彼の名前だけがぽつりと記されている。
彼は更にページを繰り、ざっと内容に目を走らせた。
「…
「……」
次第にその吐息が重くなって行く。
大きな手が額を覆い、その下から沈痛な呻き声が洩れ出て来た。
「また何だってこんな…」
「そりゃあ」
ローリィ狸田が笑う。
「駄目押しって奴だろうさ」





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