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たいせつでたいせつで(24)

 「…え」
 「や、何、いっ今、コーン、えええ~!!?」
 あわあわ瞳を揺らすキョーコを、クオンは茫然と見つめる。俄かには信じられない。信じられないが…
 「キョーコ、ちゃ、ん?」
 恐る恐る呼びかけてみる。少女に届くのか。
 キョーコは全身真っ赤にして、涙目で彼に視線を返した。
 「コっ、コーンのばかっ!何するの…ハレンチなんだからっ」
 しっかりと、視線を返した。
 「キョーコちゃん!!」
 もう他に何も言えず、クオンは小さな体を胸に抱き籠める。キョーコが目を白黒させるが構うどころではない。
 「あの、コ、コーン?なあに、どうしたの。苦しい…」
 「キョーコちゃん、キョーコちゃん…お帰り、ずっと、ずっと待ってたんだよ…!」
 それは、きっと、5年前の夏の日から。
 自分を抱き締めて掻きくどく少年に戸惑い、キョーコは首を傾げている。それでも小さな肩に顔を埋めて身を震わせる姿に何か感じたのか、少し背伸びして金色の頭に手を伸ばした。よしよしと撫でる。
 「…はは!」
 しぃん、と静まり返っていた人々の中、マカナンの笑い声が弾けた。
 「こいつはいい、魔法を目の当たりにしちまったぞ!ファンタジー映画にゃ最高の花を添えてもらったな!!」
 「まほう?コーンの?」
 少年の腕の中で、キョーコが精一杯振り返る。マカナンは数歩進んで屈み、今度こそ少女に目を合わせた。
 「そう、魔法だ。一番最初の、一番強い…愛の魔法、ってヤツだな」
 「あっ愛~!?」
 免疫のない日本少女がおらぶのにまた笑い、映画監督は黒髪の上に大きな手を置いた。
 「ああ、自己紹介の前に語っちまったな。初めまして、あー、キョーコチャン。俺はデニス・マカナン。そっちの坊主の今の雇い主ってトコかな」
 「コーンの?えっと…それは、お世話になってます」
 苦労してぺこりと頭を下げ、少女は自分をがっちり囚えている腕を叩く。しかし余計に力が入っただけで、それが解かれる気配はなかった。
 映画監督が笑う。
 「しっかり者だな、キョーコチャン。なるほど、チビズリにゃ願ってもねえ相手だ。
 「で、王子様のちゅーはどうだった?」
 鼻の頭を指で押され、少女が再び顔を真っ赤にする。
 「おっ王子様って、そんな…ち、違うもの。私の王子様はショーちゃん…」
 「ダメ」
 キョーコの肩でぼつりと低い声が発生した。クオンは身を起こし、大きな茶色の瞳を覗き込む。
 「絶対渡さないから」
 「ええっ!?ど、どういう意味」
 「どういうも何も、そのままだよ。
 「って言うか、こんなことならもっと早く…痛」
 ぽこ。マカナンのメガホンが少年の頭頂を襲った。
 「なンだチビズリ、ライバルいんじゃねえか。しっかりしろ…はいいが、焦ってんのも見苦しいぞ。どっちみちお前、5~6年は待たにゃならんだろ」
 「…ほっといて下さい」
 「ちょっと、いつまでやってんのよ!!」
 ほやほやしていた空気を、金切り声が破った。ミザリアだ。
 「監督、撮影開始しなくていいんですか。スケジュール決まってるんでしょう」
 「うっせーな、ちょっといい気分のトコによ…
 「まあしかしごもっとも、だ。よーしみんな散れー、始めっぞ」
 


 「俺も着替えて来ないと…」
 クオンは呟いてキョーコを見る。しきりに自分の服を引っ張って首を傾げているのに気付いた。
 「どうしたの?キョーコちゃん」
 「私、どうしてこんなきれいな服着てるのかしら?こんなの持ってなかったのに…
 「あっ!!」
 突然叫び、少女はバタバタと服のポケットを探る。それから肩にかけている小さなバッグに気付いて持ち上げ、しげしげ眺めてから開いた。
 一連の記憶を失っているのだ、と気付き、クオンはかちりと歯を噛み合わせた。これはキョーコにとって幸か不幸か…?更に、いまどう対処すべきなのか。
 まだ感覚が現実に追いついていない様子の少女はごそごそバッグをかきまわし、嬉しそうに小さな巾着を引っ張り出す。それには、クオンも見覚えがあった。
 「よかった、あった…
 「あのね、今度コーンに会ったら言おうと思ってたの!ほらこれ、私ずっとたいせつにしてたのよ!」
 と、キョーコはあの青い石を彼に見せる。クオンの唇に、自然に微笑がのぼった。
 「うん…
 「嬉しいよ、キョーコちゃん。ありがとう」
 「え、あ、えっと…あ、ありがとうは私なのよ?コーン」
 どきまぎと顔を赤くする少女に、彼は優しく言った。
 「クオン」
 「えっ?」
 「俺の本当の名前。クオン・ヒズリって言うんだ」
 「そ、そうなの!?私、ずっとまちがえてた!」
 「いいよ、俺もちゃんと訂正しなかったし。あの時限りだと思ってたから…でも」
 クオンはキョーコの頬に手をかけて仰向かせる。ますます真っ赤になるのへ、しっかりした声で告げた。
 「覚えて。これから、たくさん呼んでもらうから」



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 ちゅーわけでキョーコは帰って参りました。わーい、やっとマトモにキョーコのセリフ書ける~♪あーじりじりした。
 そして、ちょっと蓮が入り始めるクオンです(笑)。
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