『食に願いを☆』ちらり。

 「君に願いを☆」オマケ話「食に願いを☆」の冒頭です。
 蓮キョではなく蓮(久遠)の親世代、暴食の勇者クーと虐食の魔王ジュリエナ様のラブコメ。でもラブあんまりない(だめじゃん)。


 完成版をサイトの方にアップしました。URLは

 http://hanaute.web.fc2.com/text/○○○○○.html
 
 で、○○~の部分に「君に~」でキョーコたちが行く山の名前を入力して下さい。※最初はrでなくlです。
  ※URLちょっと間違ってたようで、申し訳ありませんでした; 

 そんでは、追記にちらりです。



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 「魔王?」
 新たに空になった皿を脇の山に足しながら、彼は軽く眉を顰めた。
 ところは、あまり綺麗ではないが量と味が自慢という飯屋のテーブル。
 ややくたびれた旅着からして、冒険者の類だろう。近く引き寄せた隣の椅子の上には外したマントと大剣を置いているから、ジョブは剣士系と思われる。
 手は残像が見えるほど高速で動き、皿の上の料理はどんどん消えているから、食べることを一瞬たりとも休めているようには思えない。にも関わらず、発語は明瞭だし目線は話者に合っていた。何かの特殊スキルなのだろうか。“おおぐらい”とかの。
 話者、即ち仕事の依頼主たちは、こっそり目と目を見交わして頷きあった。
これほど依頼内容に適応する資質の持ち主には、まず滅多にお目にかかれまい。テーブルの上に塔を作す空皿を充分に意識しながら、年長の方が大きく息を継いだ。
 話すところに曰く。
 ここより数日西へ行ったところにあるセアナ村は現在、“蹂躙されし村”との不名誉な異名を被っている。それと言うのも、半年ほど前に村の北近に居城を構えた魔法使いのせいである。かれは強欲にして酷薄であり、村の食料をことごとく徴発した上に、村人たちを城に呼びつけて呪いをかけた。
 人々は立ち上がれないほどの腹痛を何日間も味わい、それが終わる頃、おそらく魅惑の魔法に操られて城へ呼び寄せられ、同じ呪いを受ける。
 この繰り返しによって働き手のいなくなった村は、荒れ放題に荒れてしまった…
 「ひどい話だな」
 剣士が秀でた額に皺を寄せる。依頼者が頷き、ぼそぼそ続けた。
 「この恐るべき所業によって、彼の者は今や“虐食の魔王” と呼ばれているのです」
 「虐食」
 「呪いは食べ物を介して行われるそうで」
 「なんと!」
 剣士が初めて皿を置いた。反感の籠った声を上げ、彼は飯屋の壁を透かすように西の方角へ視線を投げた。
 「食べ物をそんな風に扱うとは、許しがたい所業…!」
 これまでで一番力の入った台詞に、向かい合う二人は一瞬沈黙したが、すぐにそうでしょうと勢いを増した。
 「ですから剣士殿、貴方のお力で彼奴めの暴虐を止めて戴きたいのです。
 「報酬は村の者と、我々のように村に縁者のある者からかき集めて来ました。どうか、これで…」
 ぢゃり、とテーブルに置かれた革袋はけして大きくはない。しかし剣士は、中身も確かめずに了承を伝えた。
 「わかった。食べ物を粗末にするやからは、懲らしめねばなるまい」
 重々しく頷いてから、彼はふと笑んだ。
 「暴食の剣士と異名を取る、このクー・ヒズリに任せておけ!」
 いい笑顔できっぱり言い切られ、依頼者たちはお追従のように感嘆の声を上げる。
 その二つ名が、果たしていい意味なのかどうかはわからなかったのだけれど。
 あと、天井近くまで積み上がった料理皿の代金を持つことにもなっていたので、財布の中身も気になって仕方なかったのだけれど。




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