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SWEET&SWEET(後編)

※社キョパラレルの最終話です。苦手な方はスルーよろしくです。※











 「京子ちゃん!」
 前方に、自転車を駆る京子の姿に気付いたらしい女子高生のグループ。注意を促す社に、タレントは大きく左手を振った。
 「そこの角を左に入って下さい!」
 「わかった!」
 マネージャーがやや減速しながら了承を伝える。その横を、ひゅん、と影が飛び去った。
 逆に加速したシュガーピンクの自転車は彼のすぐ脇をパスして角に差し掛かる。遅れて届いた風に揺れる前髪を払う社の視界からタレントがふっと消えた。
 追って角を曲がれば、はや数m先に華奢な背中。
 「ここを抜ければ、TV日本まですぐです!」
 逆向きの一方通行に入れなかった椹の車を置き去りに、ふたつの風はひたすら目的地へと駆け抜けて行くのだった。



 「次は富士の撮影所ですね」
 口元に指を当てた京子がひとつふたつ頷く。頭のなかで道順をシミュレートしている様子だ。
 「あそこまで車に遅れないように行くとなると、ちょっと時間がタイトですよね…大幅なショートカットが必要かも」
 「うん、任せるよ。でも京子ちゃん、ホントよく道知ってるね」
 「デビュー前のバイト時代、都内を走り回ってましたから」
 「そうなんだ」
 話しながら、2人は次第にスピードを乗せて行く。多少先行していた椹の車に並ぶ頃には、常の巡航速度に達していた。ぐいぐいとペダルが漕がれるにつれて、周囲の風景がぐんぐん流れ出す。
 そのまましばらく進んだ所で、先に立っていた京子が叫んだ。
 「右斜め前方の岐れ道に入ります!」
 朗々と響く澄んだ声。脚力もさることながら、心肺機能の強靭さがスバラシイ。
 感心しながら後に続く社は、数m先でタレントに制止されて自転車を停めた。不審に思って京子の視線を辿れば、二人の前方の空間はぱっきり切り取られて空に吸い込まれている。手すりが見えるから、階段だ。
 引き返すのかと背後を振り返った社は、ちょうど椹の車が入ってくるのを見た。しかし京子は動かない。
 「ここを降ります」
 それはきっぱり言った。社が止めるヒマもあらばこそ、ハンドルをぐっと握り前を見据える。
 「私が先にお手本見せますから、よく見ててくださいね!」
 「だ、駄目だよ危ない…って、お、俺もやるの!?」
 叫ぶより先に、少女は弾丸のように自転車を漕ぎ出した。思わず自分のマシンを放り捨てて階段へ駆け寄る社の眼前で、大きくフロントを持ち上げたピンクのママチャリが跳ぶ!
 ウィリー状態で数段を飛び、そこで後輪が弾んだ瞬間に京子は空中で体を捻る。落下位置を微調整された自転車は今度は前輪で石段を踏んだ。そこですかさず体重を入れ替えて勢いを殺さず、更に下へ。
 ひらり、ひらりと。牛若丸もかくやとばかり自転車は華麗に舞い降りていく。
 「凄すぎる…」
 いつの間にか社の隣に来ていた椹が茫然と呟いた。
 ザギャアアア!
 階段下の地面に辿り着き、タレントは鮮やかに半ターンさせた自転車をきゅっと停めてにっこりマネージャーを振り仰ぐ。
 「社さーん、早く!」
 「えっ…いや京子ちゃん、俺そんなの無理…」
 「大丈夫、社さんならできます!今日まで一緒に走って来たじゃないですか、自分を信じて下さい!!」
 「京子ちゃん…」
 青年はぐっと拳を握る。そうだ、ここでへこたれてどうする。誓ったのではないか、京子と共に進むのだと。これまでも、これからも。
 「や、社君、まさか」
 椹の狼狽を聞き流し、彼は自分のマシンのもとに戻り引き起こした。
 「社君~!?」
 そして、第二の牛若丸が。



 (あと少し…!)
 傾き始めた陽を背負い、2台のママチャリが疾駆する。ゴールはスタート地点に戻り、LME本社。ここまで5ケ所のチェックポイントを時にきわどい思いもしながらどうにかこなし、疲労はあるものの勝利は目前と2人の意気は高い。
 「社さんっ」
 京子の声が弾んだ。前方に目的のビルが見え始める。が     そこで。
 前方の歩道に、学生らしき一団。まさに最も京子を認識する世代…と思った瞬間、果たして『京子だ!?』と声が上がる。彼我の距離ははや数mに迫り、脇道はない。さすがに京子の顔も強張った。
 社は大きく息を吸い、ここを先途と疲れた足に力をこめた。逡巡にスピードの緩んだピンクのママチャリの横を抜く。怜悧な瞳が、きっと前を見据えた。
 その瞬間。
 ピキィィィィン…!
 玲瓏と響く繊細な凍結音。青年の視界一帯の空気がその内の人間もろとも凍りつく。
 「やったあ、さすが社さん!!」
 大喜びの京子を従え、彼は動きを止めた学生達の隙間を拾って駆け抜けた。


 「社君に、あんな特殊技能があったとは…」
 使える。きらりと瞳を光らせ、椹は大きく頷いた。
 「君達の身体能力、根性、特技、どれを取っても素晴らしかった。脱帽したよ。
 「賭けは、君達の勝ちだ。今後、自転車移動について俺は口を出さない」
 わっと声を上げるタレントとマネージャー。タレント部主任は苦笑を浮かべ、安全にはくれぐれも気をつけること、あくまでも京子が18になって免許を取るまでの措置だからなと念を押して去って行く。
 やはり自分の休日をつぶして賭けに付き合ってくれた上司の背中に、京子も社も深々と頭を下げた。
 椹の姿がLMEビルの裏口に呑み込まれると、身を起こした2人は視線を合わせて親指を立て合った。
 「やりましたね、社さん!」
 「うん…びっくりの連続でどうなることかと思ったけど」
 「社さん、すごかったです」
 「京子ちゃんこそ」
 「そんな…」
 はにかむ少女タレントに、絆の深まりを確信したマネージャーは優しく微笑みかける。
 「きっと、2人で力を合わせれば何だってできるんだ。これからもよろしくね、京子ちゃん。一緒に頑張って行こう」
 「はい!!」
 頭上高く打ち合わされる二つの手の間で、真っ赤な夕陽のかけらが弾けて散った。




<了>

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 と、いうことに…いやもう、ほんとに、ねえ。すいません。どこがSWEETなんだか。
 全然リク果たしてないですねトホホ。次回があればぜひリベンジを…
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