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ROMANCIA 31

 「これは失礼をいたしました…」
 でっぷりした中年男が、揉み手をしながら現れた。
 「あなたが我が主を招いた方ですね」
 レンが少し声を厳しくする。
 キョーコは混乱のまま言葉を見つけられない。じゃあこれが領主様、街で見た肖像と30㎏くらい体重が違いそう、って言うか主ってダレ。
 「いかにもさようで」
 頷いた男は眠たげに垂れた瞼の下から二人(ヒカルは明らかに目に入っていない)を矯めつ眇めつしている。瞳が、ねっとりした光を浮かべた。
 「さすが、大魔道士様ともなると従者も堂々たる美丈夫ですな。是非我がコレクションに加え…いや何」
 えっほん、とわざとらしい咳払いが響く。
 「しかし、その割にご本人はちんちくり…」
 えほえほがっほん。更に白々しく俯き、領主は前に垂れた長衣の裾を引いて直すふりをした。
 キョーコの眉が寄っている。
 「ちんちくりんで悪うございましたねーだ…」
 しっかり聞き取っていたらしく、不貞腐れた呟きが洩れた。
 「いやいやいや!」
 口の軽い中年男が慌てだした。
 「滅相もない。ちんちくりんは私のことでしてな!私などのような者に、大魔道士様が会ってくださるとは勿体ないことと…」
 「その割には手荒い歓迎ですが」
 レンがにっこり笑う。
 「いや、それは…」
 「まあ、お気持ちはわかります」
 大汗をかく領主は数瞬瞳をうろつかせたが、意外や助け舟を出したのは竜の化身の方だった。助け舟と言うよりは、話をさっさと進めたかっただけにも見えるが。
 「魔道士様の力量を試したかったのでしょう?この程度で死ぬようなものならいずれ組む価値もない、といったところでしょうか。ずいぶんと傲慢ななさりようですね」
 やはりフォローではなかった。にこにこと辛辣なことを言い、彼は傍らの少女をそっと見降ろした。
 「もちろん、我が主には小手調べにもならないとご理解戴けたことでしょう」
 「そ、それはもう、あれだけの矢をものともしないお力のほどは!」
 (…?)
 キョーコはただ突っ立っている。自分を置き去りに、どうやら話は進んでいるらしい。どこへ向かってなのかさっぱりわからないけれど。
 ぼーっとしている様子を目に留め、領主がおおこれはと肩を引いた。
 「気が利かず申し訳ありません、ささ、どうぞ奥へ。まずはお寛ぎ戴き、ゆるゆるとお話をですな」
 自分の出て来たドアへと促すのを、レンがゆったりと頷く。
 「そうですね…きちんと伺っておいた方がいいでしょう」
 まるで、本当はとっくにわかっていると言いたげな…
 「でなくては、合意点を確認できませんからね」
 いや、わかっていると言っている。これも彼が竜であるための、人知を超えた霊感のたぐいなのか、それとも永生の時の中で磨かれた洞察力なのか。どちらにしても自分の手には負えそうにない、とキョーコはこっそり諦めの溜息を落とした。
 というか、自分はどこへ連れて行かれるのだろうと思う。その一方で、自分が本気で心配をしていないこともわかっていた。それは間違いなく、隣にいる人物(のふりをした竜)のせいで。
 何か毒されて来ているような、と横目をつかえば、レンはにっこり促して来る。
 「とりあえず話を聞いてみましょう、我が主(マイマスター)」
 伺う形でも、選択の余地などもらった気がしない。仕方なく足を踏み出しながら、
 「マスターって誰ですか…」
 せめても呟いてみる。答えは実に簡潔だった。
 「君に決まってる」
 それが主に向ける言葉遣いであるものか。愉しそうに見えるのが業腹で、キョーコはよほど長い脛を蹴飛ばしてやろうかと思う。
 何となくあとが怖いので、実行はしなかった。







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 これまた久しぶりのロマンシア。これは結末のビジョンがあるだけに、どうにか完結に持ち込みたいです。
 あまり人気がないようなので投げちゃおうかとも思ったんですが、自分が楽しけりゃいいやってね★
 
 
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