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バクロアット(前編)

 「はい、“やっぱきまぐれロック”のお時間がやって参りました!今日は2時間生放送、“バクロアット・スペシャル!”をお送りします♪」
 ステージ中央で、光がにこにこと宣言した。
 「ってリーダー、“アクロバット”ちゃうん?」
 雄生のツッコミに指を鳴らす。
 「おっ、えートコ気ぃついてくれよった!
 「そう、違うんですねー。今日は入れ替わり立ち替わりいろんなゲストさんに来て貰ってはバクロ話をご披露願おうという」
 光の背後で大きな着ぐるみのニワトリ“坊”が、さっとホワイトボードを掲げた。
 『暴露@スペシャル!』
 「なんですよ」
 「おお~」
 慎一の合いの手が入る。そこで光は、ちっちと指を振った。
 「しかも、それだけやあらへんで。番組の最後には、きまぐれ最大の暴露とお知らせが!!」
 ええ~!?と観覧席から上がる声に包まれ、ブリッジロックの3人と坊は揃って右の手(もしくは翼)を挙げた。
 「と・いうことで!最初のゲストは~」



 番組は順調に進行し、様々なゲストが色々な暴露を落として行った。しかしブリッジロックの人柄か意地の汚いものは出ず、スタジオ内には共に驚き笑い呆れた者同士の連帯感に似た空気が満ちている。
 そんな中、慎一がぴっと人差し指を立てた。
 「さあ、いよいよ本日最後のゲストですね」
 「ですねー。トリを務めるにふさわしい大物ですよ?」
 雄生の言葉に、観覧席がざわつく。光がゲストの登場口を振り返った。
 「敦賀蓮さん、どうぞ~!」
 ひゃあああああ!!!黄色い悲鳴が爆裂する中、薄いカーテンの向こうに長身の俳優のシルエットが浮かび上がる。すい、と優雅な動作で紗幕を割り、影が実体に変わる…
 と。
 観覧者たちのざわめきが大きくなった。『え…うそ…』戸惑うような、『でも似合う~!』憧れるような。
 「こんばんは」
 穏やかに笑う表情も声も確かに敦賀蓮。しかし、金髪碧眼のそのいでたちはどうしたことか。
 「え、あ、こんばんは。きまぐれバクロアットスペシャルへようこそ!って、敦賀さん…ですよね?」
 「リーダー、自分で紹介しといて」
 と言い合うには、ブリッジロックも蓮が今の姿で登場すると知らされていなかったらしい。
 「そうやんな…あ、わかった!また何か新しいドラマの役で、それが暴露一個目ってことですか!?」
 やっと立て直す光に、蓮は苦笑しつつかぶりを振った。
 「そうじゃなくて…いや、暴露一個目は本当ですけど」
 と彼は、なぜかいつもと違ってゲストの世話もせずに固まっているニワトリに目を向ける。坊がはっと身を震わせたかと思うと、急にぎくしゃく動き出した。ソファセットの後ろへ行くのは茶支度だろう。
 「ええ~、なんですか敦賀さん、気持たせないで下さいよ~」
 ソファへと案内しながら音を上げる慎一に、俳優がもう一つ苦笑をこぼす。席に着くと、何でもなさそうに言い切った。
 「実はですね、これ、俺の本当の姿なんですよ」
 かちゃん。ちょうど蓮の前に置かれようとしていたコーヒーカップが跳ねた。慌てる坊に、金の髪の俳優は
 「大丈夫、かかってないよ」
 と優しく微笑む。ペコペコ謝る頭にぽんと手を置いた。
 「すいません敦賀さん、うちの坊が粗相しまして…
 「ってか!あのいやだって、金髪ですよ!?目も青いし!」
 「ええまあ…うーん、ちょっと早いけど、二つ目の爆弾も落としちゃいましょうか」
 「はい!?ちょちょ、なんや見たいような怖いようなっちゅう…その前に聞いてええですか。その爆弾てのは、一体いくつ持って来てはるんです?」
 「数ですか?ええと…」
 指を折り始める蓮に、ブリッジロックは
 「うわ~数えてはる!」
 「ええんですか敦賀さん!?番組的にはおいしいですけど」
 なぜか彼らの方が慌てている。
 「まあ、覚悟はして来てますから」
 「はあ…」
 「じゃ、二つ目の暴露行きますね。…俺の本名なんですけど、クオン・ヒズリといいます。いわゆる日系アメリカ人、ですね」
 こぼれたカップを下げようとする坊の手(羽)先から素早く取り上げ、蓮はニワトリに目線を合わせて言った。坊が凍りつく。
 「…!?」
 「あれ、ちょっと待っ…ヒズリて、どっかで」
 「え~、それまさか!!?」
 ブリッジロックの驚きをよそに、蓮は坊をひょいと抱え上げて自分の隣に座らせてしまった。
 「ええ、クー・ヒズリは俺の父です」
 場はまさに阿鼻叫喚。観覧席のみならず、スタッフ達の声まで混じっている。
 「うわ…えらい騒ぎになってしもた。あの敦賀さん…ヒズリさん?」
 「ああ、今はまだ敦賀で」
 「はあ。今はですか。…どういうことです?」
 恐る恐る尋ねる光のこめかみには汗が浮いている。
 「そうですね…じゃ三つ目いや四つ目かな。投下しますね」
 「うわ…」
 「ええんやろか…」
 雄生と慎一は生きた心地もしないと言いたげに呻いた。
 しかし蓮はやはり平気で、
 「この度、ハリウッド進出…というか、帰還というか。が決まりまして。それを機に、本名に戻して活動しようと…父の轍を踏むようですが」
 「…名前の葬式しはるんですか?」
 「いえ、それは」
 俳優はさらりと笑う。
 「や、ちょっと待って下さいよ。それ…そしたら敦賀さん、アメリカに移住だか帰国だかされるんじゃ!?」
 「その予定です」
 観覧席から悲鳴が上がった。
 『いや~!』
 『行かないで蓮~!!!』
 「ありがとうございます」
 蓮がそちらへ頭を下げる。しみじみと。
 「敦賀蓮を惜しんで下さって」
 「敦賀さん…」
 言葉を失うブリッジロックに微笑を返し、彼は観覧席に向き直った。正面のカメラがその端整な顔をアップで捉える。
 「俺は…父の影が大きすぎるアメリカを逃げ出して、この日本に来ました。そしてここで、皆さんに育てて戴いたんです。役者として、人として…出会う人々に教えられ支えられて。それでやっと、元の、素の自分に戻る決心がつきました」
 晴れやかな表情だった。場内がしんと静まる。
 「俺はいま、ここでの記憶に支えられて、ほんとうに幸福になろうとしている所なんです。勝手を言っているとはわかっています…でも、どうかご理解戴けたらと」
 パチ…
 と遠慮がちに始まった拍手が、瞬く間に弾ける。
 『蓮ー!』
 『頑張ってー!』
 『アメリカでの活動もチェックするわ!』
 『これからも応援してる!!』
 いくつも飛んで来る声に、俳優の顔が一瞬歪み…彼は、染み入るように、浮かび上がるように微笑した。
 「ありがとうございます…!」
 絶句したままのブリッジロック慎一・雄生がつられるように拍手している。そこへ、突然光の叫び声が上がった。
 「だ…けど、敦賀さんっ…!!」


 
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 キリリク作品として書いたものですが、もうひとつまとまってないので下げさせて戴きました。私が恥をかくだけならともかく、リク主様を巻き込むわけには参りません~。
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