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ただ乞いて(6)

 「どうしよう…」
 聞こえて来たのは、この二ヶ月と言うもの聞きたくて仕方のなかった声だった。
 蓮は細心の注意を払って重い鉄扉をそうっと閉め、足音を忍ばせて移動する。
 下階へ折り返していく最下段、踊り場の手前にうずくまる華奢な背中が見えた。間違いなくキョーコだ。膝を抱え、ぶつぶつ呟いている。
 「確かめなきゃ。でも、もしホントだったら…」
 蓮は思わず尋ねていた。
 「何が?」
 びっくう!!とキョーコが直立する。同時にさっと振り向いて、半階分上に立っている蓮を青いような赤いような顔で見上げた。
 「つ、つつ敦賀さん!!おおおお久しぶりです、あの」
 「うん、久しぶり。会いたかったよ…とてもね」
 「あ…も、申し訳ありません、何度もお電話やメールを戴いたのに…」
 「それはいいよ、とりあえず。
 「で、何を悩んでるの?」
 蓮は殊更ゆっくりと歩を運び、階段を降り始める。キョーコはじり、と後ずさりした。
 「え…あの、いえ、何でも…敦賀さんにお聞かせするようなことでは」
 俳優は足を止めずに短い息をついた。少し意地悪な気分になる。
 「相変わらずつれないね、君は。俺達、もう他人じゃないのに」
 「なっ!?」
 少女が真っ赤になって飛び上がった。その拍子に服のポケットから何か細長いものが飛び出し、床でぱさりと軽い音を立てる。
 「!!」
 血相を変えて飛びつくキョーコの手を、階段を降りきった蓮が寸前でつかんだ。
 「は、離してくださ…駄目、見ないで下さい!!!」
 叫ぶのに構わず、俳優は小さな落し物を拾い上げる。一目見て息を詰めた。
 「妊娠…検査薬?」
 「あっ…」
 蓮はぎしぎしと顔を少女に振り向ける。
 「最上さん…」
 名を呼ぶと、キョーコはにわかに色の白い顔を更に白くして勢いよく首を振った。
 「ちがっ、あの、それは!」
 「あれから、生理、来てないの?」
 「!」
 首振り人形が唐突に止まった。
 「来てないんだね」
 「あ…
 「で、も!そ、そうだとしても、敦賀さんに迷惑をかけるようなことは…」
 「そんなこと言ってるんじゃない」
 ぴしりと遮り、蓮は細い手首を引いた。
 「おいで」
 「あ、あの敦賀さん?」
 「こんなものじゃなくて、ちゃんと医者に診てもらおう。付き添うから」
 「!?
 「だっ駄目です敦賀さんがそんな!どこかで洩れたら大変なスキャンダルになっちゃうじゃないですか!!」
 俳優が苛と片眉を跳ねさせた。こんな時にもそんな風に彼を気遣い、そうすることで拒絶するキョーコが腹立たしい。
 「いいから」
 きつい声が出た。
 「はっきり確かめないと、対処できないだろう」
 「…!」
 いきなりキョーコに手を振り払われた。
 「嫌です!!!」
 「最、上さん?」
 「対処、なんてっ…」
 自分の腹を守るように抱え、少女は宙に浮いた男の手からさっと身を引いた。振り絞るように叫ぶ。
 「私…私っ、
 「堕ろしたり、しません!!!」



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 あと2回、全8話になりそうです。5と6は短めですが、一話にしてしまうには長いですし…まあ分けとけと。
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