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たいせつでたいせつで(43)

 「も、何言ってるのっ…クオンは、もう、もう…っ」
 ぽかすか暴れ出したキョーコの手首をつかまえ、クオンはじっと黒い瞳を覗き込む。そこに揺れる不安も傷も、まだ消えたわけではない。消えるまでには、まだまだ歳月が必要なのだろう。
 「こんな言い方は、きついかもしれないけど」
 少年は困ったような笑顔を浮かべた。
 「な、あに…?」
 「お母さんの時、君にできることはなかった。勝手だって言っていいよ、でも俺は、君が大人しくしててくれてよかったと思ってる。それで君は無事だったんだから」
 「クオン…私、ね。私、ここに、いていい?余計じゃない?」
 「当たり前だよ」
 「……」
 すり、と胸にすりつけられる頭を撫で、クオンは秘密めかして囁く。
 「覚えてて、キョーコちゃん。誰が何を言っても、これだけは疑わないで」
 「え…」
 顔を上げる少女に、彼は心からの愛おしみをこめて微笑みかけた。
 「俺は、君がたいせつだよ。君が必要で、大好きだ」
 ぱか、と口を開いたキョーコの顔に、見る見る血の色がのぼる。しかしクオンはまだ許さない。
 「だって君は、こんなにいい子だ。優しくて、面倒見が良くて、その上びっくりするくらい有能で」
 「はわ!?」
 「何それ」
 ぷっと噴き出し、クオンは熟れたトマト並に赤い顔を覗き込んだ。
 「ごめんね、キョーコちゃん」
 「え」
 「我慢させたんだね。俺が入院してる間だって、ずっと悩んでたんだろう?でも、俺を心配させたくなかったから黙ってた」
 「だ、だって…
 「そんなの、クオンが謝ることじゃないのに。クオンは私に甘過ぎるんだからっ」
 「いけないの?」
 「いっ!?……えと…いけないと、思う…」
 「どうして?」
 大仰に持ち上げられる金色の眉を複雑な顔で見上げ、キョーコはぼしょぼしょと言う。
 「こ、こどもは、甘やかすだけじゃ、いけないのよ?」
 「君はもう少し甘えないといけないよ」
 「…ああ言えばこう言う~…」
 うじゅうじゅ閉口するキョーコに、クオンが軽く笑った。
 「じゃ、言葉使うかわりにキスしていい?」
 「!?だだだダメ!!」
 キョーコは急いでクオンの腕からもがき出てあとずさる。小さな拳をぶんぶん振りたてて叫んだ。
 「ク、クオンはおとなしく寝てて!じゃないと怪我が治るの遅くなるんだから!!」
 また不満の声を上げるのかと思いきや、少年は同意の素振りを見せる。
 「うーん、そうだね…」
 しかし次の言葉の方向がおかしかった。
 「あさってから学校だしね」
 「…え?それは、私…」
 「俺も行くよ?座って授業受けるくらいできるし」
 「えええ!?だ、大丈夫なの…!?」
 「平気平気」
 にこにこ言い放つ整った顔を疑わしそうに眺めることしか、キョーコにはできなかった。




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 は~やっと学校編。
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