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最終兵器あの子(2)

 「それじゃ蓮、あとでな」
 蓮をドラマ撮影の現場に残し、社はマネージャー会議に出席するために一人で事務所に向かった。
 担当俳優は今期も過ぎるほど優秀な稼ぎを上げ、もともと身の処し方も心得ている。会議は特に問題もなく終わった。
 昼食を取ってから撮影所に戻るかと食堂へ行く途中、彼は視界の端を鮮やかな色合いがかすめるのを感じた。
 声を上げてしまったのは、ほぼ条件反射かもしれない。
 「キョーコちゃん!」
 呼び止めても、いつも隣にいるはずの青年はもう喜ばないだろうのに。
 一方、呼び止められた方は、びくりと細い背中を震わせて足を止める。恐る恐る、あるいは不承不承肩から振り返った。
 「社さん…」
 傍らに長身の影がないことを見確かめると、彼女は漸く眼鏡のマネージャーにきちんと正対する。ぺこりと、相変わらず美しくお辞儀をした。
 「ご無沙汰してます。今日は、つ…敦賀さんとは、別行動なんですか?」
 「あ、うん…」
 社はしかし、こうなると何を話せばいいものかわからなくない。曖昧に頷き、落ち着きなく眼鏡のフレームを押し上げた。
 奇妙にそらぞらしい沈黙が落ちる。
 「あ、あの」
 キョーコが思い切ったように伏せがちにしていた瞳を上げた。
 「敦賀さん…は、最近、ちゃんと食事を取られてます、か…?」
 そろそろと、泣きそうな顔でそんなことを聞く。どうして、と社は思った。そんな顔で、そんなことを聞くなら。
 「そう、思う?」
 哀しい気分で尋ね返していた。絶句するキョーコのつむじを見下ろし、小さく息を入れる。時計を確かめると、彼はやわらかい口調で尋ねた。
 「少しだけ、話をさせてくれないかな」



 「ごめんね」
 声に滲む苦汁ばかりはどうしようもなく、社はぽつりと言った。そう言えば、このラブミー部部室に彼だけで入れてもらうのは初めてだなどと思いながら。
 「俺あの時、見てたんだ。蓮を探しに来て、たまたま…あんな場面に出くわして、場を外そうと思う間もなく…」
 君は蓮の言葉を聞き終えもせずに逃げ出した。省略した言葉が届いたようで、キョーコは肩を震わせる。
 それを見たら、彼は気が挫けそうになった。何がしたいのか自分でもよくわからない。ただ、今のままではいけないと思うのだ。
 「無理もないとは、思うよ」
 ぽつんと零れた声は、よほど溜め息に似ていた。
 「君が受けた傷を思えば、恋愛に対して否定的になったり臆病になったりするのは、当然だって。でもね…蓮は、真剣なんだ。本当に君のこと、大切に思ってる。それを受け入れられないと思うのは仕方ないし君の権利でもあるけど…せめて、受け入れられない理由をちゃんと話してやってくれないかな」
 「社さん…」
 「あいつは表面上自分を保ってるけど、ずっとキョーコちゃんのことばっかり考えてるのが俺にはわかる。君に振られたから…君に、ちゃんと振られてないから」
 「…!」
 向かいに座る華奢な少女の肩が動いた。まずい、泣き出すのではないかと社は狼狽する。しかしキョーコは、決然とおもてを上げて彼を見返した。
 「社さんまで、そんなこと…っ」
 大きな、表情豊かな瞳には怒りの色が浮かんでいた。



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 あれ、どうしてこうなっちゃったんだ…?おかしいな、予定と違う。いつものことだけど。
 社さんを敵に回すのはまずすぎるよキョーコちゃん~。
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