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たいせつでたいせつで(50)

 「もー、いつまで赤くなってんのよ」
 ぽん、と言う奏江に、ハの字眉のキョーコはぎしぎし視線を向け直す。
 「だって何か、変な感じなんだもの…ちょっと、胸が苦しいし」
 もぞと背を揺するので、その感覚は自分にも覚えがあると奏江はふと瞳を和ませた。
 「まあ、最初はね。でも我慢しなさい、早めに形整えた方がいいんだから」
 「か、かたちって…そんな、私まだ全然」
 「全然ってことないわよ、かすかにはあるから思いついたんだし。言っとくけど、こっちのコたちと比べちゃ駄目よ!?」
 なにか憤慨の口調で、日本少女は片割れに力強く言い聞かせる。
 「そ、それはそうだけど。かすかにって…」
 言われた方はますます赤くなり、突っ込み所に迷って言葉を失った。
 「もー、そこまで恥ずかしがられるとこっちまで照れちゃうでしょ!とにかくアンタは、クオンさんのためにも頑張んなさいよ」
 「ふぇ?クオン?」
 目を瞬くキョーコに、奏江はしっかりと頷いてみせる。
 「そう。あの人、今でも綺麗だけど、きっともっといい男になってくわ。本人がアンタしか見てないから浮気とかの心配はなさそうだけど、アンタだって隣に並んだ時に自信を持てる要素が一つだって多い方がいいと思うでしょ」
 「あ、あのモー子さん何の話」
 困惑のキョーコを見返し、奏江はごくあっさりと言い放った。
 「だから、恋人同士なんでしょ?クオンさんと」
 「はあ!!?こっこっこ」
 「ちょっとやめてよ、鶏じゃあるまいし。恥ずかしいわねもう…」
 大声を上げるキョーコの口を塞いで周囲を見回す。
 「だっだってそんな、モー子さんがへんなこと言うから」
 「へんなことって…あれだけスキスキビーム出されてて何言ってんのよ。あの人、皆にはアンタのこと“妹みたいな”なんて言ってたけど、あんなの明らかにミーハーどもの嫉妬を逸らす方便じゃない。本当は単に“大事な”って言いたいんだってちゃんと見てみればわかるわよ」
 つらつら言ってやると、キョーコはどんどん真っ赤っ赤になって行った。何か思い出すように瞳をうろうろさせるので、奏江はこっそり溜め息を洩らす。
 (この様子だと、散々その手のこと言われてるわね。だけど…)
 ひとつ息を入れ、彼女はちいさく首を傾げる。
 (この子の気持ちの方が、あんまりはっきりしないのよね)
 もう思ったらもう聞いていた。
 「それでアンタは、クオンさんのことどう思ってるの?」



 ざわざわと行き交う人々の向こうに華奢な後ろ姿が2つ。二人とも黒髪だが、一人はストレートロングでもう一人は柔らかそうな(と言うかやわらかい)セミロング。
 何か買い物をしたのだろう、小さな紙バッグを提げた少女達はさざめくように話しながらホームへと改札を抜けていく。
 もう帰るところなら合流しよう、とクオンは先に切符売り場へ向かった。自宅最寄り駅までの切符を買ってホームへ急ぐ。
 電車を待っている二人を発見し、声をかけようと近付いた。
 ところへ、けして大きくはないがよく通る奏江の声が流れて来る。
 「それでアンタは、クオンさんのことどう思ってるの?」
 「えっ!?」
 驚くキョーコの声に、彼は葛藤とともに動作を止めた。彼女がなんと答えるのか、ものすごく知りたい。けれどこんな風に聞くべきじゃない。
 逡巡の挙句に少し離れようとすると、それより先にキョーコが言った。
 「す、すごく大切なひとよ?」
 (…!)
 クオンは勢いよく自分の口元を押さえた。嬉しい、とまず思い、次いで声にまで照れを滲ませるキョーコの様子に、自分が気恥ずかしくなってしまう。
 笑み崩れそうになる顔を必死で平静に保ち、彼は一歩あとずさった。
 「どういう風に?」
 奏江が更に追及している。キョーコが困ったように首を揺らした。
 「えっと…り、理想の」
 細い声に、もう足が動かなくなった。息苦しいほど期待が膨れ上がる。彼女は何と言うのだろう。理想の、友達?兄だろうか?まさか恋…
 しかしそこで響いたのはやわらかな少女の声ではなく、ちょうどホームへ滑り込んできた電車と巻き込まれた風の音。キョーコの頭は小さく揺れるけれど、発したろう言葉は一音たりとも彼の耳には届かなかった。
 「はあ…」
 クオンはがっかりしたような、しかしどこかほっとしたような気分で息をつく。たぶん、まだ機は熟していないと自分は知っているのだと思った。
 (だけど大丈夫)
 少年は碧い瞳を一瞬伏せ、かすかに頷く。
 (俺は、まだこれから努力できるんだから)
 電車に乗り込む少女達に追いつくべく、クオンは松葉杖を大きく前方に繰り出した。



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 そういうわけで、モー子さんの行きたい場所は下着屋さん、それも未ブラのキョーコのためでした。モー子さんはキョーコを守りまくってますね!同性だけにクオンより上手かも(笑)。

 たいせつ~50話になりましたねえ。まだと~ぶん終わりそうにないところがミソです。よろしくお付き合いの程~。
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