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たいせつでたいせつで(53)

 『キョーコ(ちゃん)!!?』
 3つの声が重なった。
 「どうして急にそんなことを言うんだ!」
 「そうよキョーコ、何か不足があるなら言ってちょうだい!」
 詰め寄るおとな達に、少女は慌てて首を振る。
 「ち、違うの!!不足なんかじゃなくて!どっちかって言うと逆で…」
 必死に言う姿をじっと見つめ、クオンは静かに尋ねた。
 「もう決めたの?」
 「え、あ…う、うん」
 「大丈夫?」
 「う…わかんないけど、でも。いつまでもこのままじゃいられないもの」
 「……」
 「クオン?」
 黙ってしまった金の髪の少年に呼びかけ、キョーコはそっと整った容貌を覗き上げる。囁くように見つめ返され、ほんのりと頬を染めた。
 「そうすることが、必要なんだね」
 「…うん…
 「私、この家でいっぱいやさしくしてもらったけど。でも、ほんとはこの家の子じゃなくて。お小遣いも、だるまやさんから貰ってるって…」
 と少女はクーを見る。彼が、だるまやの夫婦から預かって来たと封筒を渡してくれたのだ。アクションスターは自分も中身を足したいのを我慢し抜いていることは秘密にして、ゆったりと頷いた。
 「そう、あの二人からお前…娘にと託けられてな」
 キョーコが半泣きの笑顔で頷く。
 「だがキョーコ、この家の子じゃないなんて言ってくれるな。寂しくなってしまう…」
 「そうよ。私たちだって、あなたを娘だと思ってるんだから!」
 「ご、ごめんなさいクーパパ、ジュリママ。でも」
 「キョーコちゃんは正しいよ、父さん母さん。ちゃんと愛してくれる両親がいて家もあるんだから、キョーコちゃんはそこで、自分の居場所で大きくならなくちゃいけないんだ。この家にずっと引き止めていいものじゃない…」
 「…っ、わかっている!わかっているが…
 「毎日お前の顔を見られないなんて寂しいじゃないか、キョオコオオオ」
 ぶわ、とクオンごしに抱きつかれ、少女は目を白黒させる。
 「朝起きて、お前のかわいい“おはよう”を聞けないなんて。疲れて帰って来て、お前の寝顔を見に行けないなんてっ…」
 「やだクーパパ、寝顔なんて見てたの!?」
 「あ。いやその」
 そろそろ自意識も抱く年頃の少女に失言を放ち、アクションスターはちょろりと視線を外した。
 「父さん…」
 息子の視線が痛い。
 「もう…」
 キョーコが赤い顔でぼやき、しかし小さな手でクーの首をきゅうと抱えた。
 「また遊びに来てもいい?」
 「キョーコ…!当たり前だ、ここはお前のもう一つの家だからな!」
 「そうよキョーコ、いつでも来てね」
 後ろから髪を撫でるジュリエナの手に振り返り、少女はそちらにも抱きつきに行く。
 クオンはなんとなく手をわきわきさせていたが、キョーコがくるりと彼に向き直ると慌ててその手を背中に隠した。柔らかなソプラノが、漂うように、しかし明確な指向性を持って少年へと向かう。
 「あの私、クオンにお願いがあるの」
 「何でも言って」
 勢い込んで即答する顔を、彼女はおずおずと見上げた。
 「あの、ね。最初に帰る時、ついて来てくれる…?」
 クオンは、答えの代わりにそれはそれは幸せそうに微笑した。



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 頼られて大HAPPY状態の少年のおつむには、今虹色の花が咲いていることでしょう(笑)。
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