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たいせつでたいせつで(60)

 「どうしたんだよ、エミリオ兄貴」
 ハンドルを握る大男に尋ねられ、銃を持った男は生返事を返した。
 「ああ…」
 その目は後部座席と言うよりは、スモークを貼ったリアウインドウに向けられている。
 「後ろの車との間に一台入りやがった。空気読めねえ奴がいるな」
 「急ブレーキでも踏んでみるか?」
 「やめとけ、お客の案内が先だ」
 あっさり言われてドライバーは不満そうな唸り声を出す。しかし、
 「パパが待ってんだぜ?トニオ」
 エミリオに言われて急に背筋を伸ばした。
 「わかってるよ、兄貴…」
 「パパって?」
 クオンがいきなり尋ねた。
 「勝手に喋るんじゃねえ!」
 運転手トニオが低く凄むが、助手席からぺけんと殴られて沈黙した。
 「おめえは下品なんだよ、このバカ。お客様は丁重に扱えってんだ。なあ?」
 とエミリオはウインクをよこす。
 「いい心がけだね」
 さらりと応える少年に、ゲタゲタ笑い出した。
 「肝が据わってるなビューティ、ますます気に入ったぜ。だけど、お前みたいな育ちのよさそうなのがなんであんなとこいたんだよ?こいつとトモダチなのか?」
 男はベレッタの銃身でトミーの顎を持ち上げる。喉元に銃口を突きつけられる格好になって、不良少年の顔が白っぽくなった。
 「友達…かどうかは知らないけど」
 クオンは困った顔で言う。自分だってずっと優等生人生を歩んで来たわけじゃないよなと妙にうしろめたい気がしていた。
 「まあ、現に巻き添え食ってる程度の関わりはあるってことだろうね。だから、できれば今の状況を説明してもらいたいんだけど」
 いけしゃあしゃあと要求を持ち出すクオンの優しげな顔を面白そうに見遣り、エミリオは銃でこりこり自分のこめかみを掻いた。
 「ふーん、お前は関わってなさそうだな。たまたま居合わせたってか、運の悪い奴だ。帰してやれりゃいいけどな…」
 意外にひとが好いのかそうでもないのか、ガンナーは一人ごち始める。クオンはすかさず言った。
 「俺は帰るよ」
 「うん?」
 「帰らないと、大事な子を守れない」
 きっぱり言い切ると、エミリオは大袈裟に両手を拡げ、それから自分の肩を抱き締める。
 「おお、愛か~。若いっていいよな。ラブソングっぽいカンツォーネでも一曲歌ってやろうか?」
 身を捩るのが気色悪い。それにしても、名前と言い言動といい、明らかにイタリア系だ。マフィアだとしてもどの程度の規模なのか。飲み屋街のあたりを縄張りにしているのだろうから、とりあえずそう遠くまで連れ去られることはないだろう。この後の成り行き次第では当てにもできないが…
 「で、事情は教えてもらえないのか?」
 溜め息と共に言った時、車がするりと路肩に寄るのを感じた。
 「着いたぜ、兄貴」
 トニオがハンドルから手を離す。
 「ああ、もう着いちまったか。楽しい旅はすぐ終わるな。
 「ま、事情はパパ・ヴィットーリオに聞いてみな。綺麗なもんが好きなお人だから、お前が聞きゃ事情説明くらいはしてくれるかもしれねえ」
 エミリオが言う間に、前後に同じような車が停まった。そちらからわらわらと人数が降りて来て、ロックの解除されたドアからまずジニーを、トミーを引きずり出す。クオンも反対側からの手に腕をつかまれた。さすがに、秀麗なおもてにも狼狽が浮いている。
 (キョーコちゃん…!)





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 ピンチ続行…
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