スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

たいせつでたいせつで(62)

 にわかには信じがたいが、マフィアのボスも児童虐待キャンペーンのポスターに目を留めたのだろうか。近年、自分と父との接点が公になった機会など、あれくらいしか思いつかない。
 顎を押さえられたままじっくり凝視され、クオンは困惑の表情を浮かべた。
 「あの…」
 「そうなのか?」
 もう一度尋ねられ、どう答えるべきなのかと迷う。肯定すること、否定することはどういう結果に繋がるのだろう。
 しかし返答は、彼のものでない唇から発せられた。
 「そ…そうよ、その子は彼の一人息子よ!!だから返してやりなさいよ、その子だけでも!どうせ何にも知らないんだから!でないと、彼が悲しむわ…」
 必死に叫ぶジニーを、クオンは信じがたく見つめた。トミーを吊るし上げていたうちの一人がそんな彼女を蹴り飛ばす。
 「うるせえ、このアマ!ボスにタメ口きいてんじゃねえよ」
 「あっ」
 埃を巻き上げて床に倒れる女の姿に、クオンの腰が浮いた。
 「女性を蹴るなんて…」
 「じょせえええ?この、少年趣味のメス犬がかあ?」
 狼藉者がさも馬鹿にした口調を返して来る。クオンさえ心当たりを覚えてしまうのが痛い所ではあったが、それにしてもジニーとてかよわい女性に間違いはなく、しかもついさっき自分を庇う発言をしたのだ。
 「やめろ…!」
 睨み上げる剣幕に、チンピラさえも一瞬腰を引いた。
 「…ふうむ」
 場にそぐわない、やけに呑気くさい嘆声が聞こえた。振り返ればヴィットーリオは、少年の顎にかけていた手で今度は自分の額を撫でながら微苦笑を浮かべている。
 「なるほど、フェミニストの息子はやはりフェミニストか。それにしても…
 「よほど有名らしいな。私が、クーの大ファンだということは」
 「…え?」
 クオンは思わず問い返す。意外、とまでは言わないが、妙な偶然ではある…
 思った時、不意に頭上で何か重いものが倒れるような音が断続的に響き始めた。
 「なんだ」
 ヴィットーリオが眉を上げる。
 「確認して来い」
 エミリオに視線を流せば、銃手はベレッタを確かめトニオを連れてドアへ向かう。物音は変化し、階段を勢いよく降りて来る複数の足音に変わった。
 「他のファミリーの襲撃か!?」
 うろたえ騒ぐ男たちの中、踵を返したエミリオが指示を飛ばす。
 「トニオ、ボスを奥へ!てめえが盾んなれ」
 「わ、わかったよ兄貴」
 一連の情景に驚くばかりだったクオンは、はっと我に返り蒼白になった。冗談じゃない。マフィアの抗争に巻き込まれて命を落とすなんて真っ平だ!と思ったところで、違和感に気付く。
 マフィアの抗争?それにしては、ずいぶんと静かな…マシンガンの咆哮も爆発音もなく、ほとんど淡々とことが進むような印象がある。いや、マシンガン云々が偏見に過ぎないのか?
 幸いかどうか、ヴィットーリオファミリーの面々はもう彼らに構うどころではない。倒れたままのジニー、顔中を赤青に腫らしたトミーを促し、とにかく壁際に寄って伏せろと命じる。
 二人が躓きながら何とか指示通りにした時、両手を背後に拘束された状態でできるだけ身を縮めるクオンの視線の先で、地下室の鉄扉は荒々しくぶち開けられた。
 同時に、かっと閃光が弾ける。




web拍手 by FC2


 ああ、やっぱり出番が増えると人間味が出て来てしまうよ…
 
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。