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男はいつも愛をたった一つのロマンスとしてのみ記憶している

 「やあ、最上さん」
 事務所の廊下。背後から声をかけると、華奢な背中がびょんと跳ねる。
 抱き締めたいなと思ったけれど、さり気なく窺った周囲にはちらほらと人の姿があって。
 所在無い手をわきわきさせながら、なかなか振り向かない彼女を待った。苛立たずに、ゆっくりと。ずっとそうして来たみたいに。
 彼女の葛藤に決着がつくのを待つ。
 大丈夫、ちゃんとつけてくれるから。
 俺も珍しく早く仕事が終わ(らせ)ったし、社さんインフォメーションによれば彼女だってあとは帰るだけのはず。時間には余裕があるし、彼女には良識がある。いつまでも先輩俳優を放置できるわけがない。
 「お、おつ、かれさ、まで、す…」
 ほら、真っ赤な顔が振り向いた。
 


 昨日、彼女に好きだと告げた。
 累々積々、どうにもならないくらい育ってしまった気持ちに耐えかねて。欲しいなら乞うしかないと思い決めた。
 彼女はきょとんとして、
 「今日はエイプリルフールじゃありませんよ?ちょっと早いですけど、ハロウィンのイタズラですか?」
 なんて言う。
 「違うよ。嘘でもイタズラでもない。真剣に聞いて」
 思わず脱力しそうなところ、ここでそうすれば今までの轍を踏むだけだと俺は頑張った。
 でも有り得ませんし、とさらっと言う彼女に腹が立ったけれど、それを見せないようものすごい努力をして言葉を重ねる。
 「俺の気持ちのあり方は、君が決めることじゃないだろう?君の権利は、それを受け取るか受け取らないかの選択だけじゃないかな」
 いや、やっぱり洩れてたかな。
 「え、あの…」
 ともすれば身を引いて駆け去ってしまいそうな彼女を逃がさないよう、俺は急いで自分の言いたいことを言い切ることにした。
 「返事はすぐでなくてもいい。ちゃんと考えてくれたら、どんな結果になっても受け止める。だけど、君が自分で決めたワクの中に安易に閉じこもるだけなら…」
 ひく、と震える最上さんに、ゆっくりと、
 「無理矢理にでも引きずり出すから」
 宣言した。



 でも、少し意外だった。
 俺は、振り向く顔は青いんじゃないかと思ってたから。そうだったら、少し懐柔するようにしないとといくつかの言葉を用意してたんだけど…
 もしかしたらこれは、悪い反応じゃないのかもしれない。
 と、俺が思いたいだけだろうか。希望的観測は外れた時の反動が痛い。これまで彼女に散々教えられて来たことだ。
 「あ、あ、あの、つるがさん」
 最上さんが今日も可愛い声で俺の名前を綴る。思わず顔が緩むのを覚えた。
 「何?」
 「きょ、きょうのおしごとはおわられたのでしょうか?」
 「うん、今日はこれで上がり。君もそうなら、送るよ?」
 言ってみたけど、期待はあまりしていなかった。昨日の今日では、簡単に俺の車に乗ってくれるとは思えない。
 だけど彼女は
 「あ、ありがとうございます。えと、おねがい、します…」
 と軽く会釈するから驚いた。いや、びっくりしてる場合じゃない。気が変わらないうちに早く車に積んでしまおう。
 「じゃあ、行こうか」
 口調と動作は穏やかに、断固たる意思を持って彼女の背に手を添えた。すると、最上さんは素直に歩き出す。
 呟くような声が漂って来た。
 「わたし、つるがさんにおはなしがあって…」
 どうして全部ひらがなで喋るのかわからないけど、思わず見返すと彼女は頬をバラ色に染め、ほんのり唇に笑みを浮かべている。心が逸った。どうしようもなく。
 「も、最上さん。それ、昨日の…!?」






 「…あれ?」
 宙に伸ばした手に何の感触もなくて、俺は間の抜けた声を洩らす。薄暗いそこは事務所の廊下なんかでなく、日頃慣れた自分の寝室。カーテンの隙間から細い光が洩れて、毛布の上に輝く軌線を描いている。
 「夢…?」
 時計を見れば、そろそろ起きる時間だった。
 俺はシーツの海から身を起こし、長い長い溜め息をつく。どうせなら、もう少し先まで見たかった…いや、もしかするとあそこまでで助かったのかもしれないけど。
 ベッドを降りながら、そんなことを思う。
 洗面所に向かうべく立ち上がり、俺は目を覚ます直前に見た彼女の顔を思い出す。あれが、本当に見られればいいのに。
 さて現実の彼女は、なんと言うのか…
 だけど、昨夜眠る前よりは、楽しみな気持ちが少し増えている気がした。




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 突発夢オチネタ(笑)。この後どうなったんでしょうね。

 今回、タイトルにあんまし意味がありません。と言うかなくなってしまいました。
 マルボロのパッケージ見てて浮かんだんですが、書いてみたら内容と合わなくなって。でもまあいいやと(笑)。
 Man Always Remember Love But Only Romance Only
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