スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

KEY WORD

 君の心を開く鍵を、探してるんだ。


 まったく、どこへ行ったんだ。
 ちょっと目を離すとあの子は。今朝だって、俺が支度してる間にさっさと一人で出て行くし!
 事務所内にいるはずの彼女の姿を求めて、俺はあちらこちら駆けずり回る。社さんには無理を言ってギリギリの移動を頼み、ラブミー部々室で待機してもらっている。彼女がそちらに現れれば、捕獲の上連絡して貰う手はずだ。
 ここにもいなかったらあとは……
 思案しながら非常階段の鉄扉を開いた時、小さな呟きが聞こえた。
 「ちがう、ちがう、ぜったいちがう。ちがうんだから…っ」
 それは探しに探した彼女の声。安堵の息を落とし、俺はそろりと階段室に踏み込む。上階へ続く階段の手摺りの向こうに、膝を抱えて座り込むピンクつなぎの彼女が見えた。
 「何が違うって?」
 声をかけると、キョーコは跳ねるように立ち上がった。その途端に顔を歪めて下腹部を押さえる。
 「ああ、痛むんだね。ごめん、つい夢中になってしまって手加減できなかった」
 申し訳ないのも本当だけれど喜びも隠せず、俺は微笑っていたと思う。近付いて手を差し伸べると、彼女はビクリと震えて腰を引いた。
 「キョーコ?」
 「いっ、いいんです」
 ぶんぶん頭を振るから、やわらかな香りが漂って来る。今朝俺が洗ってあげた髪から、うちのシャンプーの香りが。
 「俺を赦してくれるの?」
 彼女の言葉と態度に違和感を覚えながらも尋ねてみた。同時に一歩進むと、キョーコは小さく二歩下がろうとして踵を階段に当てる。
 「赦すも、何も。敦賀さんは、何も悪いことはなさってませんから」
 「うん、まあ。イケナイことはしたけど、悪いことのつもりはないね」
 俺はにっこり笑い、そっと彼女の腰に手を伸ばした。
 「…やっ!!」
 引き寄せようとして、思いっきり振り払われる。どうして。
 「キョ」
 「ゆっ、ゆうべのことは!」
 体の両脇で拳を握り、ピンクつなぎの彼女は抑えた声で、だけど強く言う。
 「流されたとは言え、でも合意の上のことで、だから、敦賀さんに責任なんてなくて」
 「何を言ってる」
 遮る声が鋭くなってしまった。キョーコがびくんと口を噤む。
 「流された?責任がない?どうしてそんな話になるんだ。
 「俺は言ったよ、君を愛してる、だから欲しいって。君は頷いてくれたじゃないか。流されたなんて言わないで くれ、責任なんて取る気満々だ!!」
 今度は両手で細い肩をつかみ、一気に言った。やっと手に入れたと思った矢先に振り出しに戻されてたまるもんか!
 だけど彼女は首を振り続ける。そのピンクつなぎは愛を拒否する姿勢の表れ?まだそんなことを言うのか?俺を好きじゃないって?恋してないって?今更?
 いつまで!
 業を煮やして問い詰めた。
 「どうしてそんなに頑ななんだ。俺の言葉は、少しも君に届かなかった?」
 キョーコは、
 ひゅっと短い呼気を洩らして硬直する。奥歯がかちんと鳴るのが聞こえた。
 「ちが、あの、違います!!わかりました。きのう、嘘みたいだけど、敦賀さんは嘘なんてついてないって。 だから私、嬉しくて」
 「じゃあどうして、今日は俺を拒む?」
 また流されたとか言われる前に、急いで言葉を継いだ。そんな言葉を何度も聞きたくない。
 「朝になったら気持ちが変わったのか」
 そう、言って。不意に気付いた。彼女が疑うのは、今じゃないのかもしれない。
 「もしかして、俺の気持ちが変わるって思ってる?」
 キョーコの肩が跳ねる。
 「そう、なのか? いつか俺が君を捨てるかもしれないって、そう君は思うのか」
 「思いません!!」
 悲痛なソプラノが響いた。
 「敦賀さんは私を裏切ったりしない。もし気持ちが離れても、きちんと向き合って話をして下さいます!」
 いや、それ思ってるってことだろう?
 「俺の気持ちが君から離れる、ねえ…いや、まあ今はいいよ。
 「それなら、どうして俺を拒むのか聞かせてくれないか」
 「だけど、でも、だって、わたし」
 「うん?」
 「こわい、んです。敦賀さんに、侵食されちゃう。ぜんぶ、敦賀さんで占められちゃう……敦賀さんで一杯になって、私がなくなっちゃいそうなんです。そんなの怖い。
 「だからこれ以上、入って来ないで下さいっ……」
 「嫌だよ」
 ほとんど反射みたいに拒否が飛び出る。拒否と言うより本心か。
 「それは、もう君の中に俺がいるってことだよね? なら俺は、もっともっと君に侵入したいよ。君をいっぱいに満たしたい。心だって、体だって」
 そっと、キョーコのぺたんとしたお腹を撫でた。昨夜味わったすべすべしたやわらかさを思い出して頭の芯に熱が走る。
 「全部、俺のものになるまで」
 「そ!んなの、だ、駄目です!!」
 愛しい、残酷な少女は悲鳴みたいな声を上げ、俺の手をつかんで自分の腹から引き剥がそうとする。それを振り払い、まるい頬を包んだ。屈んで顔を近寄せ、まっすぐに瞳を合わせる。
 「俺は、希望を述べてるわけじゃないよキョーコ。もう決めてるんだ、絶対逃がさないって」
 「強引です!」
 「そうかな?でも君、俺の権利認める言葉くれたじゃないか」
 「だからっ…それは、流されただけで」
 「違うよ」
 真っ赤な頬を撫で、耳もとに唇を寄せた。
 「君は言ったんだ。俺に散々揺すぶられて、半分意識飛ばして。うわごとみたいに『敦賀さん、すき』って。何度も。すごく可愛かった。俺は、あれで出しちゃったんだからね」
 「だ…う、嘘です! 私そんなこと」
 「言ったよ。あんな朦朧とした状態で嘘なんてつけないよね。その必要もないし。
 「それに、ほら」
 小さなあごを引き上げ、わうわう開閉する唇をそうっと吸った。潤んだ瞳を見つめたまま。
 「キスだって拒まない」
 笑い含みに囁くと、キョーコはぽうっとした顔で溜め息をつく。
 「え。だって、敦賀さんのキス気持ちい……
 「!!」
 慌てて口を押さえる手をつかまえた。
 なるほど、鍵は言葉だけじゃないってわけだ。もういちど、二度、三度と唇を重ね、貪った。
 深いふかいくちづけで、君の心を溶かしてしまおう。気持ちと体液を送り込んで、吸い取って、交換して。どろどろになるまで。
 くちゅ、と粘液が切れる音がする度、キョーコの体からだんだん力が抜けていくのがわかる。
 何回したかわからない、と言うよりたった一回に思えるキスの後で唇を離すと、やわらかな重みが胸に寄りかかって来た。
 「ねえ、キョーコ」
 しなやかな髪を指先で梳き、囁きを溜め息に乗せる。君の耳に、心に滲みて、奥の奥の扉に届くように。そこから入り込むように。
 「俺は君を侵食するかもしれないけど、君だって俺を侵食してるんだよ」
 大きな瞳が俺を見上げた。うそ、と。
 薔薇色に染まった頬をつつき、俺は笑みを零す。
 「ほんと。
 「だから、君はなくならない。俺が持ってる。必要になったら言ってくれれば、ちゃんと支給するから」
 「お小遣いじゃないんですから…」
 「ん? お小遣いもあげようか?」
 「いっ要りません援助交際じゃあるまいし!!」
 「ああ、それは外聞が悪いね」
 くすくす笑いながら階段に腰を下ろし、できるだけ楽なように彼女を膝の上に座らせた。血の色をのぼすピンクの耳たぶをかるく引っ張って、
 「で。違うって何?」
 と聞いてみる。半泣き声が『意地悪』と返して来た。
 「嫌いになった?」
 今度は『そんなわけありません』。小さなこぶしが、きゅ、と俺のジャケットの胸元を握る。その左の手を取って口付けた。  
 人差し指、中指、薬指は付け根に。近い将来、君の全部を手に入れる予約のつもりで。
 「じゃあ、ほんとのこと言って」
 指を絡めて手を握り、やや強めに額と額をぶつける。少し痛かった。そう言えばこの子は石頭だったんだ。
 うー、と唸る小動物の瞳を覗き込む。
 「どうして俺を赦すのか、ちゃんと考えて」
 キョーコは息を呑んで俺を見上げた。
 でもなかなか答えてくれないから待ちきれなくなる。
 「まだ足りない?」
 じーっと唇に見入りながら尋ねてみると、彼女はすごい勢いで自分の口を塞ぎ、残像が見えるくらい高速でかぶりを振る。
 それから急にぴたっと止まると、両手をへろへろ膝に落とした。
 なんだか、だんだん観察が楽しくなって来る。
 にこにこしているに違いない俺の視界の中で、頑なな少女はぷると身震いし、聞こえるか聞こえないかのかそけき声を唇に載せた。
 「………貴方に、恋、してます……」
 頬が決定的に緩むのを感じる。参ったな、君の方は簡単に俺を開いてしまう。
 華奢な体をぎゅっと抱き締め、耳もとに囁き入れた。
 「またベッドでも、それ言ってね」
 破廉恥です、の声は、俺の口の中に消えた。




web拍手 by FC2


 373730打、みなみなみデー2のももにゃ様リク「シリアス蓮→→→←キョ、ハピエン」で書いてみました…が、微妙…?ぬーん。ゆるしてくだされ。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

お久しぶりですnuecoです!このお話かなりわたくしめのツボを刺激いたしました…!
原作の蓮キョもくっついた後にこういう遣り取りありそうですよね!
恋してるって言わせる強気蓮にうっとりでした。

これからも通わせて頂きますので頑張って下さいっ!レス不要でございます~。m(_ _)m
検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。