スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

たいせつでたいせつで(72)

 「まあ、そんなに教えて欲しいってなら、教えてやらねえでもねえぞ?」
 いやらしいにたり笑いを、クオンは無表情に見返した。
 「プリーズって言えばいいんですか」
 「それも悪くねえが、いっとき楽しいだけだな」
 少年の頬にかすかに不快が走る。まったく、いい年をして落ち着きのない中年男だ。自分はこんな風にはならないぞ、と思った時、映画監督は不意に真顔になった。
 「俺はなあ、クオン。夢を見るのが好きなんだよ」
 「え…」
 低い声。呼び方。マカナンは言い終わるか終わらないうちにそっぽを向く。
 「映画屋なんてな、そんなモンだろがよ?」
 「は、あ」
 「で、まあ、そのためなら労は惜しまねえことにしてる」
 「はあ」
 話の行方が見えず、クオンは間の抜けた合いの手を返すばかりになった。マカナンが彼らしくもなくぽつぽつと喋るのが不審で、何を企んでいるのかと勘繰らずにはいられない。
 「で、だ…」
 またしてもぶちりと言ったきり、マカナンはしんねり黙り込んだ。小さな唸り声がその喉から洩れて来る。
 「監督?話なら早くしてくれないと、キョーコちゃん戻って来ちゃいますよ」
 クオンが促すと、ちょっと呆れた顔がやっと彼に向き直った。
 「おま、ほっとに嬢ちゃんのことしか考えてねえのな」
 「余計なお世話ですってば。似合いませんから、ウダウダしてないでさっさと言いたいこと言って下さいよ」
 映画監督が呻いた。
 「あークソ」
 「何ですか」
 「なんでだ?なんであの妖精プリンスが、こんなゆかいなキャラになっちまってんだ。くそ、面白すぎる」
 「はあ!?」
 目を剥くクオンがまじまじと見れば、マカナンの口元はふよふよと笑いの発作を兆している。少年はまた背中をばしばし叩かれる前にと横に移動して距離を取った。
 「…うん」
 しかしマカナンはひとつ頷き、笑い出すこともなく咳払いした。
 「俺はなクオン、今のお前を気に入ってる」
 やけに重々しく宣言するが、クオンは表情を動かさなかった。
 「さっきも聞きました」
 「いいから聞けっての。まだ反抗期かよ、チビズリめ。
 「…お前、な。自分でも、わかってんだろ?このままじゃ、駄目だって」
 クオンが棒立ちになった。
 「…な…んの…」
 「話かわかってる顔じゃねえか」
 マカナンは足を止め、映写室の扉に手をかけた。しかし開こうとはせずに、そのまま背を向けてもたれかかる。鼻の横を指で擦り、彼は妙な顔をした。まるで、照れているような。デニス・マカナンが。
 「ガラでもねえのはわかってんだよ。だけどな、そうした方が面白くなりそうだってんだから、しょうがねえだろ」
 「監督、ですから一体」
 「…お前はよ、クオン」
 映画監督は大きく息を吸い、それを一瞬ぴたりと止める。軽く頷き、はっきりと言った。
 「そろそろ、親父の影を抜け出す時なんじゃねえのか?」



web拍手 by FC2





 クオン成長編続行中。学校があまり関係なくなって来てしまったのがイタイところ…
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。