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たいせつでたいせつで(89)

 謝るべきなのだろうか。
 クオンがなにか腑に落ちないながらもとにかく対応を考え始めた時には、たっぷり25分38秒が経過していた。
 しかしどれだけフリーズしていたかの自覚はなく、はっと顔を上げた彼はとうに見えなくなって久しい華奢な背中を視界に求める。
 無論のこと彼が求めるものを見ることはなく、ただ、みどり濃くなりまさる季節の風さえもが彼から逃げていくばかりだった。
 キョーコを探す時間を求め、時計を確認する。漸く事態を把握したクオンは、少女の残して行った弁当箱をもそもそと片付け始めた。



 「あ、キョーコちゃん」
 授業の終わる時間が一致する曜日でよかった、とクオンは内心で胸を撫で下ろしながら、しかも片方で奇妙に浮ついた不安を抱えてキョーコの教室の戸口に立った。
 少女は急いで帰ろうとする親友を恨めしげに見送るところで、彼に気付くのが一瞬遅れたのが幸いだった。
 クオンを認め、小柄な少女は体じゅう至る所から羞恥と防衛の針を飛び出させる。
 「クオ」
 逃げようにも出入り口はひとつしかない。無意味にキョロキョロ周囲を見回したキョーコが、大きく肩を跳ねさせたのに彼は気付いた。
 また逃げられる。
 妙に切羽詰った気分になり、クオンはさっさと前に足を繰り出す。
 「失礼」
 誰に言うともなく呟いて慣れた足取りで下級生の教室に踏み込むと、まっしぐらに愛しむべき少女のもとへと詰め寄る。
 その強引な仕草に、キョーコが息を詰め立ちすくむ様子が見て取れた。
 少年はなめらかな動作で進み、あっと言う間に少女の目の前に立った。
 「キョーコちゃん、帰ろう?」
 ことさら平生通りを装う。
 キョーコはほっとしたような顔をして、なのにすぐには頷かない。
 「あの、私、モー子さんと」
 「琴南さんは、月曜はいつも養成所に通うから先に帰るんじゃなかったっけ?」
 機先を制したのが仇となった。
 キョーコはびくりと身を縮め、心持ち彼との間に空間を増やそうとする。
 そんなキョーコを見るのは、いたたまれない気がした。口を開き息を吸い、少年は少女以上の困惑を両手に立ち尽くす。
 先にものを言ったのはキョーコの方だった。
 「どうして、そんな顔、するの…」
 




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 今年最後の更新は「たいせつ」でした。「ひた君」を引っ張ってるので心苦しいですが、今のところこれがメイン作品、かな~?という気がしまして。
 ひた君も明日明後日には更新するつもりですので、どぞご勘弁を~。

 変な時間に更新してますが、もう今日はPCに触る時間がありませんのでこの話は大晦日の更新分になります。今年春よりお世話になりました、来年もどうぞご愛顧のほど!
 それでは皆様、よいお年を~!!

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