スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

パクス・ツルガーナ(1)~(6)

 拍手お礼にて連載しているパラレル話です。
 敏腕なのに担当タレントにモテ過ぎたり自信を失わせたりしてしまうのが問題というマネージャー敦賀蓮の手腕によって、ちょっと変わった性格で扱いづらいとされるタレント京子がのし上がっていく(?)物語。最後は…?



パクス・ツルガーナ

(1)
 「まあそりゃ、なあ」
 溜め息をつく椹に、蓮は無言のまま僅かに切れ長の目を眇めた。
 「お前のせいばっかりじゃないのは確かだよ。だから会社を首になったりはしてないんだしな」
 大手芸能事務所LMEのタレント部主任は、仕方なさそうに言ってがりがりと頭頂を掻く。
 「だが、こう立て続けに問題を起こされるとな…」
 あとは秘して、じっと目の前に座る青年を見据えた。
 「…わかっています」
 ややあって口を開いた蓮は、重く言葉を吐き落として膝に置いた手を拳に作る。短く息を入れ、彼はまっすぐに椹を見返した。
 「これが、最後のチャンスだということは…」


(2)
 「…ああ」
 椹は簡単に頷くが、その瞳には少し気の毒そうな感情が浮いている。
 「それなら、俺が更にうるさく言うこともないだろうが…」
 自分の机の上を振り返り、彼はそこに置いてある書類を取り上げた。表紙を指の背でとん、と叩き、蓮に差し出す。
 「今度は、大丈夫かもしれないぞ。この娘ならな」
 「このこって…女の子なんですか。俺は男性タレントの担当にと希望を出しておいたはずですが」
 「仕方ないだろう、お前についてもらいたがる男がいないんだ。自信がなくなるんだと」
 「…っ」
 眉を顰める眉目秀麗・長身長肢の美青年を、椹は困った顔で見遣る。
 まったく、この容姿でなぜマネージャー業務につきたいのか。勿論マネージャーとて重要な仕事だが、この世界に身を置く者としてこの容姿はいかにも勿体ない。俳優でもモデルでも、およそ明確に彼に優ると断言できる者を探す方が難しいではないか。
 中年男はまたひとつ、こっそり溜め息をついた。
 だからこそ、今の事態にもなっている…


(3)
 敦賀蓮が、マネージャーとして敏腕であることには疑いの余地はない。
 人当たりがよく顔が広く、礼儀に時間に仕事に厳しくビジョンは常に明確かつ鋭い。
 よって彼はこれまでに担当した幾人かのタレントたちをことごとく順調な軌道に乗せようとし、
 かけて、
 来た、
 のだが。
 彼の努力は、いつも途中で潰えた。
 いわく、彼と我が身を引き比べた担当俳優の自信喪失によって。
 あるいは、彼に恋をした担当タレントの少女ゆえの熱情によって。
 彼の具える能力、容姿、性質。美質に数えるべきそれらが彼と行動を共にする人々を狂わせた。
 つごう7人がそんな風にして彼から引き離され…
 いま、8人目の担当となるタレントの資料を受け取り、彼は唇を引き締めた。
 もしこの娘までが同じことになれば、彼は今度こそ不適格の烙印を捺されてLMEを首になることだろう。
 蓮は重い息をつき、受け取った書類に目を落とした。


(4)
 「本人も呼んであるからな。そろそろ来ると思うが…」
 椹の言葉に頷き、崖っぷちのマネージャーは資料の表紙に手をかける。
 「これは…」
 一ページ目に添えられた写真を目にして、わずかに首を傾げた。
 「どうした?」
 「いえ…またずいぶん、地味なタイプだなあと…」
 「れ、蓮っ」
 「え?」
 慌てた声に顔を上げると、椹の視線は彼を通り越した後ろに向けられている。
 「?」
 当然の如く、蓮はひょいと背後を振り返った。


(5) 
 「!!」
 そこに立っている少女を認め、彼は常にあらず狼狽を示した。
 “京子”だ。
 彼が今度担当するタレントの、
 いま、地味と評してしまった。
 まずい。着任前から悪い印象を与えてどうする。
 職掌に則り自らの口を悔いる蓮だが、失点は取り返してこそのプロだ。表面上穏やかに微笑みつつ椅子を立ち、彼は大きな右手を少女に差し出した。
 「やあ…京子ちゃん。初めまして、俺が今度君につくことになったマネージャーの…」
 「敦賀蓮25歳独身、血液型A、2月10日生まれ。マネジメント歴3年にして次々に担当を代わること7名、敏腕ながら問題多発のマネージャーとして最早崖っぷちに瀕しながら、
 「ずいぶん地味なタイプをあてがわれて絶賛焦燥中…というわけですか?」
 「な…」
 きょろ、と睨み上げられて蓮は斜めに上体を引く。しかし引きつり気味だったその唇が、ゆうっくりと緩んで行くのに椹は気付いた。


(6)
 「蓮?」
 呼びかけるとマネージャーは、宙に浮いたままの手を引いてにこやかに振り返る。
 「なるほど、これはまた、意外性のある子のようですね」
 「い、いや別にな?なかなか合う者のいない同士をセットにしてしまえば手っ取り早いとか割れ鍋に綴じ蓋とかそういうことじゃ…」
 もぞもぞ言うタレント部主任は、言えば言うほど墓穴を掘り進める結果になった。
 しかし蓮はかるく首を振る。
 「責めてはいませんよ。…気に入りました」
 『はあ?』
 言い放った肯定の言葉に、椹と、当の少女までが奇体な声を上げた。
 「この子なら、俺に負けずに張り合って行ってくれそうじゃないですか。割れ鍋に綴じ蓋結構、いずれ最高のコンビと呼ばれるようになってみせますよ…」
 不敵に笑う蓮の背には、青い炎が立つかのようだった。


 
  web拍手 by FC2


 毎日ちびっとずつ書くのってラクかも~♪

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

検索フォーム
作品一覧
サイト「花うてHP!」トップよりブログ内の作品のリストに飛べます。閲覧者の皆様のアクションに対して加算させて戴く「花うてポイント」の説明・管理もこちらよりどうぞ!

作品リスト(サイトトップ)

アクセス

・メールフォーム

・BBS

リンク

◆リンクページ


◆当ブログへのリンクについて

当ブログはスキビコンテンツをお持ちのサイト様に限りリンクフリーといたします。


ブログ名:花のうてな

管理人名:みなみ なみ

URL:http://hananoutena.blog14.

fc2.com/


 ↓各ジャンルごたまぜの本サイト。

↓スキビの同人誌作品をブログ記事として収載・販売しています。(2014年7月までで更新停止)

 ↓BUD BOY二次です。


  • 管理画面
  • RSSリンクの表示
    QRコード
    QR
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。