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たいせつでたいせつで(90)

 「そんな、顔って…?」
 言いかけてクオンは周囲を見回す。
 一年生達の注視を集めていることに気付き、努めていつも通りの表情を繕った。
 「とにかく、帰ろう?」
 右手を差し出すがキョーコはすぐには応えず、足を止めたまま推移を見守っている奏江に目を移す。しかし親友は、ひらひらと手を振りながら言うではないか。
 「いつまでもここにいられないでしょ?」
 場所も状況も確かにその通りで、少女はふにゅうと涙を飲んだ。
 仕方なく自分のカバンを取り上げる。
 「ま、また明日ね、モー子さん」
 「ハイハイ」



 「ごめんね、キョーコちゃん」
 「えっ!?」
 無言のまま少し先を歩いていたクオンから唐突に言葉が流れて来て、キョーコは文字通り飛び上がった。
 金の髪の少年がすこし苦笑しながら立ち止まり振り返る。
 「俺が変に反応するから、君を余計に恥ずかしがらせて」
 「えっ、違…クオンが謝るようなことじゃ…」
 「いや、俺の気遣いが足りなかったんだ。君を守りたいって、いつも思ってるのに」
 微笑むような、うなだれるようなクオンの姿を、少女は胸を押さえて見つめる。
 思ってる、なんて。守って、くれてるのに。いつも。とっくに。
 しかし口に出せばクオンはおそらく否定する。そうしてまた、自分はできてないと考えてしまうのだろう。それがわかるから彼女は何も言えず、ただ少年を見つめた。
 クオンがそろりと言う。
 「許して、くれる?」
 「ゆ、許すも許さないも、別にクオンは…」
 キョーコは口の中でもちょもちょ呟き、大きな目を忙しく瞬いた。
 「あの、私も…バカなんて言って、ごめんなさい」
 「そんなの」
 ぽそと言うと、クオンが小さく笑った。
 いつも通りの、キョーコの大好きな、優しい笑顔。なのにどこか何かが違う気がして、少女はちいさく身を震わせた。
 「クオン…」
 そんな様子を見て、少年は笑みの質を変える。
 「慣れてるよ。まあ大体、俺が悪いんだけど」
 いたずらっぽく、少し意地悪く。試すように、
 なおかつ、赦すように…見逃すように、だろうか。
 冗談に紛らわされた庇護の言葉を少女は鋭敏に受け取り、応えた。
 「そんなに、言ってないもの」
 拗ねたように言い返せば、クオンはそうかなとわざとらしく眉を寄せる。じきにそうだねと笑って、彼は大きな手を少女の頭に乗せた。
 「キョーコちゃんは優しいからね」
 「そっ、んなの…っ」
 クオンの方がよほど。そう言おうとするキョーコの機先を制するように、少年は今度は仔細げな顔つきをして見せる。
 「ねえところで、キョーコちゃん」
 「え、な、なあに…?」
 「昨日聞くはずだった話って、何かな。今日、聞ける?」
 「あ」
 ちょこんと首を傾げられ、キョーコは小さな声を上げて少年を見返した。





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 ここもいい加減牛歩ですが…まだ流れは予定通りなので終われない心配はないなとか思ったり。


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