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パクス・ツルガーナ(19)~(24)

 拍手お礼にて連載しているパラレル話です。
 敏腕なのに担当タレントにモテ過ぎたり自信を失わせたりするのが問題というマネージャー敦賀蓮の手腕によって、ちょっと変わった性格で扱いづらいとされるタレント京子がのし上がっていく(?)物語。最後は…?


パクス・ツルガーナ

(19)
 「ああ」
 蓮がちょっと笑った。
 「まずは、俺の知り合いのヘアメイクさんの所。それからブティック、アクセサリーショップ。エステにも行ってみようか」
 「え、あの、TV局回ったりとかはしないんですか」
 「今日のところは売り込みはなし。先に君のイメージと言うか、セールスポイントを見つけないとね」
 「セールスポイント…」
 「そう。それをしっかり作っておかないと、今後の展開を構成できないんだ」
 言われたことを吟味するように黙り込む少女に、彼は少し首を傾げた。
 「そういうこと、言われたことない?」


(20)
 「えっと…路線、ってことですよね。純真とか天真爛漫とか、そういうムチャな要求をされたりは、しました」
 「ムチャって」
 蓮は苦笑しつつ、左へウィンカーを出す。車はなめらかに路肩へ寄り、歩行者を待ってから左折した。
 「でもそうか…みんな、深く考えずに君の第一印象だけで戦略を決めようとしてたんだね。君が持ってる可能性まで、眼に見えるわけでもないのに」
 静かな声に、京子はほのかに赤面する。
 「あの敦賀さん、マっマネージャーさんって、タレントを煽てるのも仕事のうちなんだとは思いますけど…もう少しその、なんと言うか、穏当な言葉を使用して戴けないものでしょうか」
 「え…別に、過激な発言をしてるつもりはないけど」
 首を傾げる蓮に、彼女は駄目だこの人と言いたげに眉間を押さえた。
 「糖分が高すぎると思います…」


(21)
 「糖分、ねえ」
 不遇のマネージャーは不得要領な顔をする。
 「全然自覚ないんですか」
 さらに突っ込まれて首を傾げる。折りよく信号待ちの停車となり、右隣に秀麗な顔を振り向けた。
 「だけど、君は別に反応してないじゃないか」
 「それはっ…」
 タレントが、なぜか赤いような青いような顔をする。
 おや、と蓮の視線は沈思を映して宙を辿った。ほんの今まで平静だった彼女が、急にどうしたことだろう。
 「私は、もう、そういうことはしないって決めてますから」
 ややあって、京子はあまり唇を動かさずに言う。
 その硬い表情に、蓮の脳裏に閃くものがあった。青に変わった信号に従って発車しながら彼は思う。
 もしやこの辺りに、彼女のマネージャーが次々交代して来た理由があるのではないだろうか?


(22)
 「そういうこと、って?」
 蓮はできるだけさりげなく尋ねてみた。もともと遠くない目的地が近付いて来てはいるが、話の進み具合によっては迂回して時間をとるかと腹の中で考える。
 「ですから。お、男の人の口車に乗って浮かれたりとか、変にいい気になったりとかそういう、バカ女みたいな真似です」
 「は?」
 マネージャーは自分で振った話ながら、我が耳を疑わざるを得なかった。
 いま、この年頃の、自意識ざかりのはずの女の子は何を言ったのか。
 「ええと京子、いま君…バカ女とか、言った?」
 そろりと尋ねてみれば、力強い声が返る。
 「申しました!」
 それはもうきっぱりと。
 今度眉間を押さえることになったのは、マネージャーの方だった。


(23)
 書類では、確か京子はいま16歳。そんな年齢の女の子が、恋愛バナシをこんな風に一刀両断にするというのは…
 何か、理由がある、のか?ならば聞いておくべきかと彼は話をそちらへ向けてみる。
 「あー…君はそういう、何て言うか…恋愛沙汰みたいなのに関心がない、ってこと?」
 「そうは申しておりません」
 即答に彼はうっかり胸を撫で下ろしかけたが、京子は更に言葉を継いだ。
 「力いっぱいバカバカしいと思っておりますっ」
 「……」
 マネージャーは果てそうになった。人々に夢を売るべき芸能人がこの発言とは。
 とは言え、彼に果てている余裕はない。
 「参考までに、君がそう考える根拠を聞かせてくれないかな…?」
 もうひとつ弱い声で要請すると京子は一瞬怯んだが、ぐっと息を呑むと握り拳でも作っていそうな口調でふんぬと言い切った。
 「私はそもそも、タレントを目指してるわけじゃなかったんですっ!」


(24)
「え…」
 マネージャーが両の目をすうと眇めたが、タレントは前ばかり見ていて付かなかった。案の定ちからづよく握った拳に、ちからづよい鼻息を当てている。
 「それは、どういう意味かな」
 蓮の声が低い。
 「君は、望んで芸能界に入ったわけじゃない、ってこと…?」
 何か押し殺すような口調で問えば、京子はうーんと細腕を組んだ。
 「その点に関しては、そうとも言えないのですが。確かに私は、自ら志望してこの世界の扉を叩いたわけですから」
 「そう…安心したよ」
 「はい?」
 「生半可な気持ちじゃ、この業界を生き抜けない。そこを共に泳ごうって言う相棒にこんな仕事、とか思われるんじゃ俺も立つ瀬がないからね」
 静かに言われ、タレントは驚いた顔をマネージャーに振り向けた。




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