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たいせつでたいせつで(96)

 「ああ…」
 ひとつ嘆声を放ったまま、少年はまったく動かなくなった。
 「クオン?」
 心配そうにキョーコが一歩近付く。腕に触れると、クオンは火傷したようにビクリと身を跳ねさせた。
 「え…」
 「あ」
 傷ついたような顔をする少女に、彼は慌てて両手を振り回す。
 「ご、ごめん!キョーコちゃんがあんまり可愛いから。つい、見とれて…」
 「えええ!!?」
 今度は少女が飛び上がった。肩の少し下まで伸びていた髪をポニーテールにまとめて白いリボンで括っているのだが、その先端を少しカールさせたしっぽがぴょいと跳ねる。
 服は彼女の肌の色を引き立てるやわらかなピンクの袖なしブラウス。襟は白く、花の形に掘り込まれた白蝶貝の飾りボタンは白虹のように光っている。下は膝丈の白いフレアスカートで、裾からすんなり伸びた細い脚の先は華奢なエナメルピンクのパンプスに包まれていた。
 「えっと…ど、どうも、ありがとう」
 スカートの裾を握り、キョーコは真っ赤な顔で礼を言う。
 「クオンも、すごく、かっこいい…」
 彼女を凝視したままの少年を見上げれば、ボタンダウンの襟をいじる長い指がぴたりと止まった。
 「え…と」
 一瞬泳いだ目が戻ると、整った容貌は光をこぼすように微笑を作る。
 「ありがとう。キョーコちゃんにそんなこと言われると、俺浮かれちゃうよ」
 彼は既に充分浮かれているのだが、二人ともいっぱいいっぱいでそれには気付いていない。
 もじもじと絡み離れる視線を追ううちに、じゃらりと玉のれんが鳴ってだるまやのおかみが顔を出した。呆れ声で言う。
 「なんだいあんたたち、いつまで玄関先に突っ立ってんだい」
 「えっ?あ、いえ!も、もう出ます」
 クオンは慌ててキョーコの手を引いた。



 「足元気をつけて」
 慣れないパンプスにやや苦労しているキョーコを助けて地下鉄の出口を出、クオンは左手の通りを見渡した。
 「ここから3ブロック先のガレージハウスなんだけど、よかったらタクシーを拾おうか?」
 「ううん、大丈夫」
 キョーコがそっとかぶりを振る。
 「クオンと歩くのも好き」
 微笑んで見せるから、少年は何かに耐えるように呼吸を噛んだ。
 「だんだん破壊力が増して来てる気がする…」
 それとも自分の意識の持ちようのせいなのか。自問する少年は、首を傾げている連れに気付いて微笑を繕った。
 「破壊力ってなに?」
 「いや…何でもないんだ。行こうか」
 「うん…あ」
 「何?」
 彼女に合わせてゆったりと歩き出す少年に、キョーコはやわらかく言う。
 「言い忘れてた。卒業おめでとう、クオン」
 その声さえも女性らしいまるみを帯びて来たようだ。
 「ありがとう…」
 複雑な気分で礼を言い、少年は左目の奥あたりで考える。
 こんなのが、あと何年続くんだろう。




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 さて、次回パーティシーンを書くか省くか…要るかな~?迷迷迷


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