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たいせつでたいせつで(101)

 クオンはスタスタと歩いて行く。
 その肩をぽこぽこ叩き、
 「ねえクオンってば、だいじょうぶだから降ろして」
 キョーコはほとんど懇願に近い声で言う。
 「クオンが疲れちゃう。私、絆創膏持ってるから。手当てすれば歩けるから」
 「ああ…俺は平気だけど、手当てはしなきゃいけないな」
 背の高い少年は思案の瞳を四囲に投げ、少し先にジューススタンドを発見した。
 「あそこで少し休もうか。ちゃんとノンアルコールの飲み物買って」
 その方向へキョーコの視線を促して微笑めば、バツの悪そうな顔が頷く。
 長い脚がなめらかに運ばれ、じきに少女は店先のベンチに降ろされた。
 「消毒薬とかあった方がいいね。ドラッグストアでもないかな…」
 呟くクオンに、小さな頭がぷるぷる振られる。
 「携帯用の滅菌コットン持ってる。これ、救急セットなの」
 バッグを探って小さなポーチを取り出すから、少年が少し目を丸くする。
 「用意がいいね、キョーコちゃん」
 「だって…まえにクオンがケガした時、何もできなかったから…少しくらい何かできればいいと思って。そりゃ骨折とかなんてどうしようもないけど」
 言いながら少女はポーチを開け、いくつかのものを取り出す。それへクオンは、内緒話のような声を落とした。
 「俺の、ため?」
 「え」
 先ほどとは逆にキョーコの頭をクオンが抱え、つむじに短く口付ける。
 「~!!?」
 慌てて頭頂を押さえる手から飛んだポーチとその中身を受け止め、少年はにこやかに晴れやかに言い放つ。
 「キョーコちゃんが手当てしてくれるなら、きっとどんなケガしたってすぐに治るよ」
 「…」
 ところが、少女は彼を睨み上げて押し黙ってしまった。
 「あれ、えっと…キョーコちゃん?」
 「だめなの。やっぱり、こんなの要らないの。要らない方がいいの」
 「え」
 「ケガしちゃ、やだ…」
 「…っ」
 今度言葉を失ったのはクオンの方だった。苦しげにさえ見える息をついて、彼はポーチを握り締める。
 と思うとすいと屈み、キョーコの右足を取った。靴を脱がせ、靴下を引き下ろす。
 「え、クオン、私自分で」
 「いいから、じっとしてて」
 袋を破って消毒用コットンを出し小さなかかとに当てると、よほど沁みたのかキョーコはぎゅっと身を縮めた。 しかし声を上げない我慢強い少女は、痛みから気を逸らそうとするのかややひきつった笑顔を浮かべて彼に話しかける。
 「あの、ごめんね、クオン」
 「謝るような事は何もないよ?」
 「でも…折角のパーティ、だいなしにしちゃって」
 「なんだ、そんなこと」
 クオンは救急バンの紙包装を剥がしながらさらりと笑った。
 「俺は単にキョーコちゃんと出かけたかっただけだから、君がいればパーティなんてどうでもいいよ」
 「も、もうクオンは…」
 小さな傷口に絆創膏を当てると、痛んだのだろう少女は言いさした言葉を宙に浮かせる。それをつかまえようとするのかかき消そうとするのか、顔を上げたクオンはまっすぐに黒い瞳を捉えた。
 「来月は、ほとんど会えないね…」




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 この辺ちと蛇足感もある。

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