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たいせつでたいせつで(103)

 「どうしたの?キョーコちゃん」
 尋ねるクオンに、ぷると頭を跳ねさせた少女は慌てて両手を振り回した。
 「あ、何でもないの。ただ、ちょっと会わないうちに、また背が伸びたみたいって思って…」
 「ああ」
 少年が笑う。約ひと月ぶりにキョーコの家の玄関先に立った彼は、頭頂を日本家屋の玄関の鴨居にかすらせて入って来たものだ。
 「2インチ弱かな。キョーコちゃんも少し伸びたみたいだけど?」
 「半インチくらい…」
 じっとり見上げる黒い瞳。クオンが小さく噴き出したところで、廊下の奥からぺたぺた足音がしてだるまやのおかみが顔を出した。
 「ああクオン君、おはよう」
 「おはようございます」
 金の髪の少年は如才なく笑顔を向ける。するとおかみは、頬に手を当てて苦笑を浮かべた。
 「先だってはごめんね。せっかくの卒業記念を、うちの子のせいで台無しにしちゃって。新しい靴でいきなり出かけるより、少し慣らしておくべきだったねえ」
 などと言うのはパーティの時の話か。
 もともとほんの微量のことで、帰り着く頃にはすっかり酒気も抜けていたキョーコは両親に謝ると言うクオンを無理矢理のように帰らせたのだが、この分だと早く帰ったのを単に靴擦れのせいにしたようだ。
 少年は少々心苦しく思ったが、それよりも“うちの子”というおかみの言葉が嬉しかった。
 微笑む彼に、彼女はにこにこと続ける。
 「キョーコちゃんを迎えに来てくれたんだね」
 「ええ、なにしろ今日の主役ですから」
 「ああ…」
 キョーコの養母は複雑な笑顔を見せ、娘と少年とを見比べた。
 「ほんとに、よろしく頼むねクオン君。監督だって知ってる人だし、ヒズリさん一家と一緒なんだから心配しなくていいとは思うんだけど…キョーコちゃんはまるきり初めてのことで、昨日から緊張しっぱなしなんだよ」
 「おかあさん」
 「それにキョーコちゃんは一昨日キャンプが終わったばっかりで、まだ疲れてるんじゃないのかい?まったく、詰め込みすぎって言ったのに。いくら…」
 「おかあさん~っ」
 「あ」
 キョーコにしがみつかれて、おかみはぱふと自分の口を塞ぐ。
 「?あの」
 続きを求めるクオンの視線を逃れるように、追い立てるように少女の背中を押した。
 「あ、ごめんね出かける邪魔しちまって。さあ、行っておいで。頑張るんだよキョーコちゃん。監督さんの言うことをよく聞いて」
 業腹ではあるが、デニス・マカナンの要求に応えることは確かに必要で、有益だと認めざるを得ない。当人がどんなに思いつきと気紛れと傍迷惑によって生きているように見えても。その場をごまかそうとするおかみの意図は見えていたがクオンは敢えてコメントを控え、キョーコのために一歩下がって場所を空けた。
 「ありがとう…」
 クオンに支えられて靴を履き、少女はへこりと礼を言う。養母に行って参りますと頭を下げて、彼女は更に身長差の開いてしまった連れの少年を見上げた。
 「えと、お待たせしました」
 相変わらず整った、しかしほんのわずか以前よりも輪郭の長くなった観のある顔が微笑む。
 「どういたしまして」
 右手がついと差し出された。
 それを2秒見つめたあと、キョーコはこそりと背後を振り返る。
 見送る養母は、光を放射するような強力な笑顔を浮かべていた。





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 おかみさんはクオン派になってる模様。
 つかまたCFまでちょっと届きませんでした。


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