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たいせつでたいせつで(104)

 「足元気をつけて、段差があるから」
 キョーコをタクシーから助け下ろし、クオンはスタジオを振り返る。
 すると、いつの間にかマカナンが入り口前まで出て来ていた。しかも、妙にニヤニヤしている。
 「あ、監督さん。おはようございます!」
 「おはようございます…」
 少年はきちんと挨拶するキョーコに合わせる形でしぶしぶ呟いた。太鼓腹の映画監督がのそのそと近付いて来る。
 「よう」
 先に少女の前に立つと、ぽんと頭に手を置いた。
 「俺の主演女優様のご機嫌はどうだ?」
 にしゃ、と笑いながら視線を流すから、自分の手ばかり見ているクオンには気付いているようだ。と言うよりも最初から故意にしている可能性がいちじるしく高い。
 しかし口を開く少年よりも、真っ赤になったキョーコがあうあう言うのが先になった。
 「しゅっ主演女優って」
 「その通りだろ」
 「でもっそんな。無理です、私はオマケです。だってほかはみんな綺麗な人ばっかりで。私なんかほんの添え物で」
 「バーカ」
 ぺん、と指先で額をはたかれて、キョーコはびっくり目で黙った。
 それへマカナンは、にやりと笑いかける。
 「まあ、見てなって」
 キョーコの背を促してスタジオの方へ歩き出し、彼はクオンをちらと見遣ってから付け加えた。
 「俺の魔法をよ」
 「魔法…!」
 少女の頬が一瞬でバラ色に上気する。しかし次の瞬間、歩道の向こうからやって来る人影に気付くと彼女の意識は綺麗に男どもから逸れた。現れたのは彼女の親友の姿。
 「あっモー子さん、おはよう~!!」
 瞬間移動と見紛うほど素早く駆け去っていく小さな背を見送り、クオンは複雑な顔をする。
 奏江が飛びつくキョーコを剥がしながらが彼らにも挨拶を送って来た。手を振り返したマカナンは再びスタジオの入り口に向かう。
 途中、半分だけクオンを振り返った。
 面白そうに。
 「…何ですか」
 少年がぶっすり問い返す。返事にはやはり面白がる響きがあった。
 「そりゃこっちの台詞だっての。お前、嬢ちゃんと何かあったのか?」
 「え」
 むしろあったらよかったのに、とばかり半顔をしかめるクオンに、映画監督はいつものニヤニヤ笑いの口端から言葉をひり出した。
 「触り方がやらしくなってんじゃんか」
 「…!!」
 クオンが棒立ちになる。
 ししし、と笑ったマカナンは、その肩を軽く払うような仕草をした。
 「青春だな、坊主?」
 「っ…」
 「まあそう睨むな、とうとう背を抜かれちまったオッサンの、ささやかな意趣返しってやつだ」
 少年の目がすこし丸くなった。気がつけば、確かに目線が変わっていた。






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 あっちもこっちも亀亀亀~。迷ってると駄目だなあ。


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