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ワルプルギス

 爛漫の春も行こうという頃。
 某トップ俳優inJapanは、その商売道具である輝かしい笑顔をかれこれ30分も無料提供するハメに陥っていた。それも自らの意思に反して。
 場所はとある芸能事務所の社長の広壮なる邸宅奥の豪華なリビング、これで『俺のくつろぎ部屋』と称しているのだから庶民の敵と呼ぶべきか、ともかくそこで。
 顔を揃えたメンツはと言えばまずこの邸の主であるローリィ宝田、これは当然。次いで、その斜向かいに配置されたソファに彼自身が腰を下ろしていて、少し間を空けた隣には彼の思い人・恐怖の激ニブ乙女たる最上キョーコ。それもよしとする。しかし。
 なにゆえに?
 更にその向こうには、トップスターinAmericaとその妻がにこにこと座っているのか。そもそも仕事にどう折り合いをつけて、多忙の身を日本に運んで来たのか。何のために…
 とは聞きたくない、と敦賀蓮は心の内に嘆息した。
 「いや」
 クー・ヒズリはにこやかに言う。
 「キョーコが世話になっている先輩と言うからな?一度顔は合わせたが、果たして実際にどんな人物かと気になったのだが…うん、流石に私の子は人を見る目がある。これなら我々も安心だ。なあジュリ?」
 視線を流すのは無論傍らの妻、生きた宝石と讃えられる至天の美貌の持ち主ジュリエナ・ヒズリ。
 「ええ、そうねあなた。私はキョーコに会うのは初めてだけど、クーのお眼鏡に適うだけあってしっかりしたいい子だって少し話しただけでわかるわ。そんなキョーコが頼りにしてる人ですもの、レンは素晴らしい人なのね」
 「そんな…」
 玲瓏たる微笑を向けられ、日本のタレントはうっとりふわふわと呟く。
 「あ、いえ、敦賀さんは確かに素晴らしい方なのですが、私などは」
 「お前は私のかわいい子だ」
 「あらクー、私たちの、でしょ」
 「おお、こりゃ一本取られたな?クー」
 笑い合う三人の大人たちの背後に何かの尻尾を見た気がして、蓮はかすかに目を眇めた。
 クーとジュリエナが彼の実の両親であると、キョーコだけが知らない。
 彼らが何のためにそこに座っているのかも、照れ照れと笑っている姿に先輩俳優がどんな思いを握っているかも、とにかく知らない。
 だからそんな風に笑っていられるのだ、と俳優はこっそり奥歯を噛む。彼は大人たちが妙に素早く目配せしては若い二人を見比べている様子に気付いていたのだ。加えて、何かと自分たちを持ち上げて見せる会話の数々。
 つまるところ彼らは、我慢できなくなったのに違いない。
 キョーコを想うこと歴然である(らしい)彼が、いつまで経っても彼女を得られない事実に。
 彼にしてみればグレイトな世話というもの、率直に言って茶番だとすら思う。今すぐにも席を蹴ってこの場を立ち去りたい。
 しかしそれに際して、キョーコを一人残して行くことはできなかった。そんなことをすれば、彼女は三人によってたかって何を吹き込まれるか。
 かくて蓮は空疎な会話と笑顔を保ちつつ、肚の裡に後輩を連れて自然にこの場を離れる算段を探り続けているのだった。
 そして、
 彼が最早仕方ない、裏目も覚悟の上で伝家の宝刀『食事』を持ち出してみようかとあまり冴えない思案を固めかけた時。
 彼の父は磊落そうに言った。
 「こんな先輩が身近にいては、キョーコは理想が高くなりすぎるんじゃないか?敦賀君クラスの男はそうそういないだろうから、お前は相手に困ってしまうな」
 「いえ、先生。私は相手とかそんな」
 「父さんだろう、キョーコ。それにお前は、またラブミー部がどうとか悲しいことを言うのか?可愛いお前が愛の素晴らしさを否定して殻に閉じこもるなど、私には耐え難い…」
 「せ、父さん…っ」
 苦悩を見せるクーの姿に、根が素直なキョーコがうっかり流されかかる。
 (もう…まったく…)
 蓮はそっと自分の額に手を当てた。その小芝居は自分の望む方向へ話を持って行こうとする中年の手管だ、とキョーコに指摘してやりたい。なぜそう騙されやすいのか。
 どうせこの後、自分のことを彼女にアピールし出すのに違いない…とうんざりする思いで父を見遣った彼の耳に届いたのは、しかし意外な言葉だった。
 「そこでだな。今日はお前に」







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 きらら様の91万打リクにて。
 「ヘタ蓮に業を煮やした愛のキューピッド、ローリィ・クー・ジュリがキョーコとの仲をまとめ上げるべく暴走(要約)」というところで…えー…3回くらいで終わるといいな、と。はっはっは。


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